④ 対魔物討伐兵士と騎士
そこは魔物が飛び交い、人と魔物が争う海の街。
「姫さーん! こっちに風魔法よろしくっす!」
「はーい」
「おい! そっちにジャジャ馬の風が飛ぶぞー!!」
「誰がジャジャ馬よ!!」
男に交じってちらほらと勇ましい女性を見かけたが、飛びぬけて小柄な少女が一人混じっていた。同じ軍服に身を包んでいるはずだが、明らかに場違いな体格に見えた――人一倍魔物を倒しているのも彼女だったが。その横で微笑ましく見守る、皆と同じ西公の軍服を着た第二王子殿下。なんだ、この異様な光景は。
「くらえ! 俺の上段突き!!」
「おい。それ、ただ真っ二つに落としただけだぞー」
「お前らそれ終わったら、あっちの落っこちてるの回収してくれー」
他の
「・・・・・・何すか、これ」
「「西公の討伐」」
四公爵家は騎士ではなく、魔物と暮らす広い国土を守るための要として
西大陸なら他国もほぼ同じで、皆『対魔物』訓練を受ける。
そして今、公爵領に着いてすぐ始まった護衛としての勉強が、四公爵家の中でも対海の魔物を得意とする
「なんか、ユルいっすね・・・・・・」
「まぁ、南は規律に厳しいから比べるとユルいかも?」
「東はお偉いさんの護衛もあるから、礼儀ない奴入れないし」
「北は「鬼軍曹がいるし」」
「・・・・・・」
「結果的にユルくはなる、かな?」
「でもさ。こんな感じだからこそ、一番の
「な、なるほど?」
「アランは、まだ南の合宿しか行ってないでしょ? 行ったらわかるよ!」
「各公爵領それぞれに良いところがあるけど・・・・・・「強い奴がいるのは断然
そんな話を
この夏、護衛としてあんまりだったが、結果として西公爵家の討伐に参加できたからいいのか、な?
***
色々と衝撃的な討伐を夏のうちに体験した俺は、叔父叔母が言っていた事が気になっていた。相談した父も「学生中に経験した方がいい」と勧めたのもあり、
ちなみに、続けて
北は・・・・・・マジで鬼がいた。冬は寒さが厳しくはなるが、ローズ国の農業や酪農を一手に引き受けるほど豊かな土地と穏やかな領民たちを治めるだけあって、ゆったりとした時間が流れる北の領地に似合う温和で気さくな公爵がいた。けれど、一度戦闘の事になると鬼神が
東は、近衛になる場合のために受けておいた礼儀作法の授業がなければ――死んでいたかもしれない。国の重鎮を警護するのが主な任務のため、訓練が厳しいだけではなくトップレベルの礼儀作法を叩き込まれる。国の重鎮を警護するため、気に入ったらそのまま
残るは今着いたばかりのここ、南公だけ。一度、学院の合宿で参加したんだが・・・・・・合宿中とは全くイメージが違った。合宿中に訪れたのは、南公にある『対討伐兵士用訓練場』だけだった。学院の騎士科で受ける訓練の上級版といった感じだったんだが、あくまでもここの初級だったらしい。学院の騎士科もそうだが、
一癖も二癖もある公爵家の
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