5.欲しくないモノ(1)
「行かなくてはいけないのですね・・・・・・」
「仕方がないでしょう? 王家のお茶会だもの」
有無を言わせない雰囲気に責め立てられ、否とはいえませんでした・・・・・・圧が凄いです、お母様。淑女教育のおかげで、だいぶ顔に出なくなったと思う・・・・・・だいぶね。あぁ、面倒だわ。
あ、もうすぐ七歳になります。季節は春。場所は王都の我が家の御屋敷。何故かって? 勿論、王子様方の為のお茶会の
婚約者候補達の顔合わせお茶会も数回あったらしいが、他候補の方々のお家のお茶会は出席してないので私以外の候補って実はよくわかってない。どこのお家とか家族構成くらいは日々のお勉強でわかるけど、人となりなんてわからない・・・・・・参加したくないからあんまり関わってないしね。
本音を言えば全部回避したいが――お母様怖いので、王家主催のお茶会には顔見せ程度に参加したよ・・・・・・最低限の
そ・れ・よ・り! 王家のお茶会のお茶請けが美味しくて、見た目も綺麗で! お茶会で出たお菓子について、帰宅後に王都へ付いてきてもらってるヤンと語り合って再現を試みる方が楽しいんだもの!! お茶請けのために、他家のお茶会も行けばよかったな・・・・・・。
で、今回。王族は三歳になると王家主催のお茶会で御披露目するので、王女様の年齢に近い貴族子女達は絶対参加です。私も王女様とは四歳離れるけど、逃げれません。高位貴族だし、五歳差までは有無を言わせず絶対参加。そんなお茶会で、第二王子様の婚約者最終決定します。
思わず、ムスッとした表情を出してしまいそうになった。すぐに引っ込めたよ? 折角ポテサラ以外の『危ない事はしない約束』の中で作った料理で、正式に火や包丁を使っていいと口説き落とせたのに、順調にこなしてる淑女教育成果がないとわかれば、厨房出禁にされてしまうし。そんなの嫌!! 表情筋にお仕事してもらって、ここ一年で習得した鉄壁の仮面を被りました! 同年代の子達にはバレません・・・・・・まだまだ母にはバレてるが。今回は、見逃してくれたようです。仕方がない子ね、と
ヤンに火を使う部分は手伝ってもらいながら作ったら、あっさり火と包丁の使用許可くださいましたお母様。そんな母に、ミルクジャム作る時に
そういえば日本では、SNSで食べれる鉱物とか何だかって話題になってたな。まぁ私の場合、流行り出す数年前にお土産でもらった琥珀糖を気に入ったから食べたすぎて調べたの、作れるかなって期待して。そうしたら砂糖と寒天と水だけで作れるって分かって、余ってた寒天使えるしちょうどいいや!って作ったっけ。物凄く簡単だし。
後日、ペッシャール家特有の瞳と同じ色の琥珀糖は、我が家のお茶会に必ず常備されるお茶請けになる事を、この時の私はまだ知らない。
あ、父を落とすのには、豆腐の味噌漬けを作りました。味噌と砂糖と
案の定、お酒好きな父や男性使用人達から絶大な人気を得た豆腐。簡単だし、チーズみたいな風味が出て美味しいよね。おかげで父は
味噌はお味噌汁以外に活用法がなかったから、厨房メンバーの食いつきも凄かった・・・・・・ていうか怖かった。
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