【完結】悪役だった令嬢の美味しい日記
蕪 リタ
プロローグ
風が少し肌寒く感じるようになり、空には
「お嬢! 今日は何作るんです?」
「フフフ・・・・・・今日は、とれたてホヤホヤの新鮮なこれ!」
ジャーン!と効果音がつきそうな出し方で、侍女のニナに用意してもらった紫色の芋を台へ乗せる。そう、あの秋の味覚。
「これってーと、アマイモっすか?」
顎に手を当てながら、どう料理するのか考え始めたヤン。日本で多くの種類がある
また、ここでの一年は480日と長く、四季もありそれぞれ約四月ずつになるため、旬や収穫時期も長めで美味しいものを長く味わえる。・・・・・・ちょっと嬉しい誤算だった。
「そうよ! これで美味しい秋のスイーツ作るんだから! あとおかずにもおやつにもなるアレとね!」
えっへん!と腰に手を当て胸を反り、自慢げに話すのは薄い黄色のエプロンに身を包んだ私、レティシア。一応、我が国ローズの四公爵家の一つ、西のペッシャール家の令嬢だから厨房には普通入らないんだけどね。使用許可をもぎ取るのに両親を
それでも家から通うから、毎日とは言わずも週末だけでも――と我が相棒ヤン兄さんは言ってくれてるから、週末を楽しみにすることにしよう! あ、勿論実の兄ではないよ! ヤンは厨房の兄貴分だからね! 私も心の中で呼んでるの・・・・・・使用人だから普段は呼べないしね。
半年後に想いを
他の料理人は今日の夕食準備中のため、私が作る物に毎度興味津々な
蒸した方は少し冷まして、触れるくらいになってから熱いうちに皮を
「一回目は160度で五分くらいかな、二度目は180度でカリッとするまで揚げてね!」
「二回・・・・・・揚げるんすか? お嬢」
不思議そうに指示を聞くヤン兄さんに頷いて、皮むき作業を続ける。
この
簡単な調理法は残っているし、調味料や食材等、名前は違えど伝わってはいるので一通り揃う。しかも、
あ、味噌汁は庶民の家庭料理らしく、高位貴族の食卓には上がらない。・・・・・・いや、食べたすぎて厨房の
一度目の揚げが半分ほど出来上がる頃に、残りの皮も剥き終えたので、
綺麗に混ざり切ったら、ボールを押さえてくれていたニナにも手伝ってもらって形を整える。スイートポテトの形って
できた木の葉たちを天板に並べて、地球で言う鶏にあたるコッコの卵の黄身を表面に塗って、焼き色がつくまで焼いていくともう出来上がり!
ちょうどオーブンへ並べたところに、二度揚げが終わったヤン兄さんが合流。こっちは後、ソース作って
そういえば、初めて厨房に立ちたいと
今日の厨房は、甘くホッとするようないい匂いが漂っていた。スイートポテトの焼き上がりを待ちながら、
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