第56話 ツンとしたあれ

 今日もノルド老の所にお邪魔した。

 目的はこの間直した魔道具が、ちゃんと動いているかの確認だ。


「邪魔するよ」

「先生、なら何時来て頂いても結構です」


「見たところ魔傷は出来ていないようだ」

「魔傷とは何ですかな」

「魔法を食らうと魔力の通り道が傷を受ける。症状は痛みと怠さだな。何にもしなくても自然治癒していくんだが、時間が掛かる。魔傷を受けすぎると廃人になるかもな」


「ほほう、なるほど。それを治す温泉なら知っておりますぞ」

「びっくりだな。そんな温泉があるのか」

「5派閥の共有の財産になっております。入るには寄付金の金貨100枚が必要ですじゃ」

「金貨100枚か。そんなに金を集めて何に使うんだ」


「施設と警備の運営費ですじゃ」

「なるほどね」


「そうですじゃ。孫娘に庭を案内させようかのう。そこを行った突き当りを出ると中庭に出ますじゃ。孫娘がおるはずだから案内させるといいですわい」

「じゃお言葉に甘えて」


 中庭ね。

 突き当りを真っ直ぐね。


 中庭に出るとなんとガイときつい目の女の子が話をしていた。

 女の子は赤毛の美人で俺と同い年ぐらいに見えた。


「お前、何でここに」

「ノルド老をレストランで治したんだよ」


「お爺様にも困ったものです。こんなどこの馬の骨とも知れない人を招き入れて」

「一応、騎士の位を貰っているんだがな。Xランクだし」


「嘘ですわ」

「いいや本当だ。人間性は少し怪しいがな」


 とガイ。


「俺のどこが怪しいって」


「女を二人も侍らかしているだろう。マッサージ屋で年中、卑猥な事をしていると聞いたぞ」

「間違ってはないが。卑猥な事ではなく、エロ魔法道だ」


「お爺様はなんて」

「庭を案内してもらうと良いと言っていたな」


「お前は、二人もいて、まだ満足してないのか」

「別に粉を掛けるつもりはないんだがな」


「では邪魔だ。失せろ」

「嫌だね。案内してもらう」


「歯向かいたいようだな」

「君が決めろよ」

「私? 私はお爺様の言いつけには従います。あなたを案内して差し上げます。光栄に思いなさい」


「リンダ、この男が好きなのか」

「いいえ、誰がこんな奴。でも言いつけには従わないと」


「お前、決闘だ。火炎旋風ファイヤートルネード

「無駄だよ。秘孔魔法・霧散拳」


 ガイの魔法は霧散した。


「ここは私の家です。戦うなら他所でやって下さいな」

「今日は大人しく引き上げる。学園の魔法武闘大会で勝負だ」

「なんで勝負しなきゃならない。一文の得にもならないのに。お前とは雌雄を決しなきゃいけないかも知れないが、お遊びの武闘大会ではな」


「リンダを賭けて勝負だ」

「人を物みたいに扱うのは好きじゃないな」

「私はあなたに賭けるわ。元々ガイとは何にもないし。物でないという意見には賛成します。でもあなたが好きな訳じゃないですから。勘違いしないように」


「そう本人に言われれば、勝負を受けるしかないようだ」

「そうか、首を洗って待ってろ」


 ガイは捨て台詞を残して去って行った。


「ガイとは親しいのか」

「顔見知りというだけよ。ガイはエクセレントの会長の息子。お爺様は昔、インフィニティの会長だったのよ」

「ふーん、幼馴染という訳か」

「腐れ縁よ。ガイには不純な動機が見えるの。インフィニティの教義では邪な考えは瞑想に迷いを生むだわ」

「何が不純なんだい」


「ガイが欲しているのは権力よ。エクセレントとインフィニティの両方を牛耳ろうとしているの」

「なるほどね。俺にはあまり関係ない話だな」


 それから、庭を案内してもらった。


「言っておくけど。魔法武闘大会では絶対に負けないで。負けたら酷い目に遭わせるから」

「俺を信じてないのか」

「お爺様はああ見えて人を見る目があるわ。お爺様はあなたの事をなんて呼んでるの」

「ヒロ先生だな」

「信じられない。あのお爺様が師と仰ぐなんて。からかっているのよね。嘘を言ったら承知しないわ」


「後で本人に聞いたら良いだろう」

「そうね、そうするわ」


 リンダを透視眼鏡魔法で裸にする。

 ふむふむ、おっぱいは普通の大きさ。

 運動が得意なのか乳首はツンと上を向いている。

 体はぜい肉がなく引き締まっている。

 お尻のラインも美しい。

 肝心のあそこは。


※済まない、ここから先は自主規制なんだな。


 ふう、裸を堪能した。


「何かべたついた視線を感じたわ。いやらしい目でみたら承知しないんだから」

「承知しないとどうなるんだ」

「お爺様に言いつけて、成敗してもらいます」

「それは怖いな」


 怖くないけどね。

 一応怖がるふりをした。

 さて、魔法武闘大会か。

 負けないと思うが気をつけないと、どんな汚い手を使ってくるか分からない。

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