第49話 人と獣 分かり合える日
「これは、お前が行ったことか」
「僕は
でも、周りの皆さんの変化はきっと」
そう、小谷周平はあくまでも
それは、魂にこびり付いて中々取れなくなった汚れを落すように小谷周平の異能によって綺麗に取り除かれていることに変わりは無いが、討伐隊のへの変化にまで影響を与えたものでは無い。
「では、いったい何が起こっていた」
「これは私の私見ですが、恐らくは―――」
木崎は小谷周平の行った事と、自分への変化そして周りの状況を見て推論を立てたようで皆へ自分の立てた推論を話始める。
「周平君の異能によって徐々に
大槻や猟友会のメンバーそして他のSAT隊のメンバーも一様に木崎の意見に同意する。
彼らもまた、木崎同様に非常に強く温かな愛情に包まれていたのだ。
「それほどまでに、この青年の異能が強力ということか」
「いや、違いますよ
木崎は
この一連の出来事は自らが起こし、そして自らの愛情でここにいる皆の魂の方向を変えたのだと。
「そうか、傍迷惑な話だな、まったく」
「この度は大変迷惑を掛けた、申し訳なかった」
「我々は良い。だが、
大槻はそういうと木にもたれ掛かり意識を失っているみことへ目をやる」
「ああ、そうだな」
それは、初めて彼女と出会った時とは違い慈愛に満ちた視線であった。
「では、ひとまず和解も出来た事ですし、この場から帰るとしますか
みことさんもしっかり休ませたいですし。」
小谷周平の提案に一同同意を示し、木崎はみことを担ぎあげ
「ここからならベースキャンプが近い、そこで休憩してくれ幸い簡易ベッドは設置済みだ」
大槻の申し出に木崎は感謝を述べて、SAT隊が使っているベースキャンプを使用する事にして大槻を先頭として歩いて行った。
一行がたどり着いたベースキャンプは、戦争映画なので見る野営キャンプのそれであり、まさに戦場最前線といった様相である。
霧崎みことは、そんなSAT隊のベースキャンプ内に設置してある一つのテントで簡易ベッドに横になっていた。
「うっぅぅん」
みことは軽く伸びをしながら目を覚まし変わっている目の前の風景に目をやる
そこには全体を深い緑いろに囲まれて、薄い毛布に包まっている状況を整理しようとした。
「ようやく起きたか」
その声は、ここ数時間で幾度と聞いたそれであった。
「あら、ずいぶんと可愛い体になったのね」
「
そこには、身体のサイズが小さくなった
「此度は貴殿には色々と世話になった。多大な迷惑もかけてだな、その―――」
みことは
「すまなかった、お前を傷つけてしまった、人間を食ってしまった。
取返しが付かない事をした。」
「恥ずかしい話だ、これほど長く生きて来ても人一人への謝罪も上手く出来ない、
我は小さき存在だな」
「そんなことないわ、あなたの気持ちは伝わる、でも―――」
そう、それだけではダメだろう。
今回、いやそれ以前から
「霧崎みこと、これはお前にしか頼めぬ。これ以上被害を出さないように、
この我を、
償いだ」
「ダメよそんなの、絶対に認めないから」
「死に逃げないで、償い方はそれだけじゃない、しっかりと殺めた人の分も生きてその分を生き続けて罪を返して行きましょう」
みことは非常に優しい表情で
死より辛いだろうが、その道を進めとそう
「そうか、ありがとう。我はまだ生きて良いのだな贖罪を果たすために」
「えぇ、もちろんよ」
深々と彼女への最大限の経緯を表すように、それは長く頭を垂れ続けた。
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