20:00
撮影日が衣装制作の時間で押してしまったので、元からあった冬休みのしおりはただのタスクが書かれているメモ帳となり、時間が許す限り撮影を進めた。
そんな撮影を真っ暗な海辺で一旦終えると、瑠愛さんは私たちをとても温かい掘りコタツのある焼き鳥屋さんに連れてきてくれてご飯をご馳走してくれる。
瑠愛「んー…♡やっぱり、炭火焼の焼き鳥は美味しいね!」
天「はいっ!あと、このきんぴらも絶品です!」
私は2日も美味しいご飯をお腹いっぱい食べれることが幸せで渡辺がいても笑顔になるけれど、渡辺は瑠愛さんがいるのに学校にいる時と同じ無表情でご飯を食べ進める。
瑠愛「琥太くんはネギが好きなの?」
と、瑠愛さんが声をかけると渡辺はすぐに反応して口角を上げた。
渡辺「この焼きネギが甘くて…。瑠愛さんのそれは?」
瑠愛「ぼんじり♡」
淡島さんのことがあってから心ここに在らずって感じだけど、本当は好きだったのかな。
けど、スケジュールを優先しようとしすぎてあんな態度を取ってしまったのかも。
私は淡島さんが可哀想になってきたけど、私がいじめられても無視するだけで席替えで一度隣になっても話をしたことがないことを思い出し、そんなに性格がいい子ではなかったなと思ってしまった。
だから渡辺も付き合う中でそういう一面を見て、嫌になったのかもしれないなと思っていると渡辺はトイレに立ち、私の前からいなくなってくれた。
瑠愛「なーんか、琥太くん元気ないね。」
と、瑠愛さんはトイレに行く渡辺の背中を見つめながらボソッと呟いた。
天「朝に付き合ってた子と鉢合わせして少し喧嘩しちゃってたのでそのせいだと思います。」
瑠愛「え?付き合ってる子いるの?」
天「私はそう見えたけど…、違うかもしれないです…。」
渡辺は付き合ってないと言っていたけど、淡島さんは浮気だと言っていた。
まあ、キスをしたら誰だって付き合ってると思うけど、ひぃ兄は周りにいる友達に遊び方が汚いと言われるほど女遊びをしてるらしいし、渡辺もそういう人種なのかも。
私は絶対的に好きにならないタイプの人がずっと食べていた焼きネギを注文し、明日からの撮影では気分を持ち直してもらおうと思っているとだいぶトイレが長かった渡辺が戻ってきた。
天「ネギ、冷えるよー。」
渡辺「え…。あ…、ありがと…。」
と、渡辺は私が自分の串を注文したことに驚きながらも席に着き、また食べ始めた。
私はやっぱりどうしても気まずいこの食事会があと1週間近く続くのかと思ったけれど、自分の家でご飯を食べるよりはマシだと思ってしまった。
環流 虹向/天使とおこた
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