20:00
莉李の言う通り、俺は大混雑する東京に来てしまった。
けど、夢衣とはまだ連絡していない。
しないといけないと分かってるけど、しようと思うと指先が震えてうまくメッセージを送れなかった。
来虎「…会わなきゃ。」
俺は自分の声を出して自分自身を奮い立たせて、まだ震える指先で夢衣に電話をかけるといつものように夢衣はすぐ出てくれた。
夢衣『まだ番組始まってないよ?』
来虎「今東京駅にいる。夢衣は?」
夢衣『…え?来たの?』
来虎「うん。夢衣に会いたくて。」
俺はずっと引っかかっていた気持ちを莉李に教えてもらったので、自分の口で素直に夢衣に伝えた。
夢衣『私も会いたい…!今からそっち行く!』
来虎「人多いから中間地点で待ち合わせしよう。夢衣は今どこ?」
夢衣『ななみん家。』
…痛いのって本当に恋してる痛みなのか?
本当に心臓疾患とかじゃないのか?
みんなこんな痛みに耐えながら今まで生きてきたのか?
それなら俺の周りにいるみんな凄すぎる。
来虎「分かった。じゃあ時計台がある神山駅で待ち合わせで。」
夢衣『分かった!』
俺は混雑するホームを縫うように歩き、なるべく早く待ち合わせした駅の時計台の下で待っていると軽いヒールの音が自分に向かって走ってくるのが聞こえる。
来虎「急でごめん。」
夢衣「ううん!会いたかった!」
と、夢衣はメイクもヘアセットもしないで俺とお揃いのスウェットだけで着飾った自分で来てくれた。
来虎「七海は平気?」
夢衣「うん。お昼から酔いつぶれてずっと寝てるもん。」
来虎「そうだったんだ…。だいぶ飲んでるだな…。」
俺は少しアルコールの香りがする夢衣にまた胸が締め付けられる。
夢衣「今日はさすがにトンボ帰りしない?」
来虎「しないよ。夢衣とデートするために来た。」
夢衣「…え。」
夢衣はさっきまでとても笑顔だったのに、俺が正直すぎることを言ったからか驚いた顔のまま固まってしまった。
来虎「…嫌、だった?」
俺は自分中心過ぎる行動が夢衣の予定を色々と狂わせたんじゃないかと心配になっていると、夢衣は思いっきり首を横に振った。
夢衣「デートする。ホテル行こ。」
来虎「行かないよ…。なんでいつもホテルなの…。」
夢衣「だって…、私の家来たがらないじゃん…。」
と、夢衣は俺の腕に抱きつくと唇を尖らせていつものように拗ねた顔をする。
来虎「今日は泊まれるとこないから行きたいと思ってる。けど、デートしてからにしよ?」
夢衣「お家デートもあるよ。」
夢衣は少し食い気味に俺とのデートを提案し、自分の家へ行く路線の電車へ行こうとするので俺はそのまま夢衣の家に行くことにした。
環流 虹向/ココのさきには
ココのさきには 環流 虹向 @arasujigram
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