20:00
俺は七海と夢衣と一緒に調理道具がたくさん売っている商店街に行き、朝から水しか入れてなかった胃にもんじゃを入れるところ。
夢衣「よだれ出そう…。」
七海「俺も…。胃が口から出て直に食いたいって言ってる。」
来虎「別でご飯ものも食べるか?それならあんまり待たなくて済みそう。」
七海「ダメ!もんじゃはもんじゃで食う!」
夢衣「そう!この空腹がスパイスなの!」
そう言った2人はまだまだ好みのパリパリ食感にならないもんじゃを弄りながら腹を鳴らす。
そういえばこの2人がくっついたらどうなるんだろうか。
ふと、意見が合った2人を見てそう思うと心臓がチリチリとした痛みに襲われてまた冷汗をかく。
なんだか最近内臓器官がおかしいのか、痛みを感じたり動悸を感じることが多くなった気がする。
もう20歳の若い体でもないし、運動をし過ぎて内臓に支障をきたしてしまったんだろうか。
向こうに帰る日はちょうど、いつも通っている内科が年内最後の営業日だった気がするから朝早く帰って行ってみよう。
そう考えていると、七海と夢衣はやっぱり我慢出来なかったらしく、小腹を満たすためのアイスを半分に分け合って食べて焼き時間をなんとかやり過ごす。
七海「俺、明日からずっとBAR出ようかなって思ったんだけど、29日から3日まで休みらしいんだよね。」
来虎「あー、正月休みか。」
七海「そうそう。だから練習いっぱいしたいけど、来虎っていつ帰るんだっけ?」
来虎「…29日。莉李と彼氏の3人で実家で年越ししようってなってる。」
七海「まじか…。バットタイミング…。」
と、七海が分かりやすく落ち込むと夢衣が元気良く手を挙げた。
夢衣「私がお客さんになるよ!実家帰らないから年越しシェイクしよ!」
そう言って夢衣がカクテルをシェイカーで作る仕草を七海に見せると、七海は嬉しそうに目を輝かせた。
七海「いいの!?俺、めっちゃ下手で床汚しちゃうけど。」
夢衣「じゃあ、ななみんのお家でカクテルパーティーね。私、引っ越ししたてだから掃除したくない。」
七海「いいよ!じゃあ連絡先交換しよー。」
2人はとても自然な流れで年末一緒に過ごす約束も、連絡先交換もしてしまった。
俺はそんな様子を見て少し胃が気持ち悪いのを感じていると、夢衣はやっとパリパリになったもんじゃを皿に取り、箸で一口サイズを作ると俺の口元に持ってきた。
夢衣「ふーふーして?」
来虎「自分でしなよ。」
夢衣「来虎が食べるから自分でするの。」
と、夢衣は少し拗ねた顔をしながらまた少し俺の口元に箸を近づけたので、俺は軽く冷まして明太子の粒が弾ける空腹に恵み過ぎるもんじゃを口に入れた。
夢衣「美味しい?」
来虎「うまい。もう一杯頼もう。」
夢衣「その前に私にも一口。」
そんなわがままを言う夢衣に俺はチーズがとろけるもんじゃを口に入れてあげると、虹をかけるほど綺麗なアーチをした夢衣の笑顔が現れて俺は周りの音も自分の音も聞こえなくなる。
夢衣「美味しー…♡やっぱりもんじゃはもちチーズだね!」
全ての音が聞こえなくなったはずの俺の耳には夢衣の幸福そうな声だけが入ってきて、その後にやっと全ての音を取り戻した。
その感覚は自分の中で今までにない感覚で、本当になにかの病気なんじゃないかと思った俺はネット予約で受診をしっかり予約して3食分のもんじゃで胃を満たした。
環流 虹向/ココのさきには
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