20:00

莉李が夏のいないクリスマスイブを楽しむために、みんなして用事がなかった悠と夢衣3人の女性のみでクリスマス会を開いた。


そんなふわふわした声たちがリビングでクリスマスを楽しんでいる中、俺は明日分の仕事を終わらせるためにPCで作業をしていると部屋の扉がノックされた。


来虎「はーい。」


「入るよー。」


と言って、夢衣がトレイに今日俺が買ってきた惣菜と悠が買ってきてくれたフライドチキンを乗せてやってきた。


来虎「ありがとう。ちょうど腹鳴ってたこと。」


夢衣「そうかもなーって思ってこれも持ってきた!」


夢衣はトレイを俺の膝に置くと背後から袋に入ったマフィン2つを取り出した。


来虎「…どこに持ってた?」


夢衣「マジック!サンタさんみたいでしょ。」


と、自慢げに夢衣は俺にマフィンを渡すけれど、俺はサンタにマジックのイメージがなくて思わず首を傾げる。


来虎「サンタってマジックするの?」


夢衣「サンタさんは本物の魔法使うから、私たちがするマジックとは違うね。」


そうなんだと俺は1人納得しながら夢衣が持ってきてくれた夜飯を食べていると、あぐらをかいていた俺の膝に自分の膝をぶつけるように夢衣もあぐらになって座った。


夢衣「プレゼント、選べた?」


来虎「うん。ギリギリだったけど。」


夢衣「…気になる!」


来虎「今日と明日、どっちがいい?」


夢衣「悩ましいっ…!」


と言って夢衣は顔をクルミにして悩むけれど、そんな違いはないよなと心の奥底で思ってしまう。


来虎「明日は天ちゃんとドレス着るんだよね?」


夢衣「うん。悠ちゃんもねねちゃんも可愛いの着るって。」


来虎「…じゃあ今日の方がいいかな。」


俺は中身のことを考えて今日渡す予定ではなかったまだメッセージカードが付いていないプレゼントを渡すかどうか悩んでいると夢衣が首を横に振った。


夢衣「やっぱり明日のクリスマスパーティーまで我慢する。いっぱい悩んでくれたんだもんね?」


来虎「だいぶ悩んだ。夢衣は悩んでくれた?」


夢衣「もちろん。3ヶ月前からどうしようかなって思ってたよ。」


そんな前から考えてくれたことに驚き、俺は思わず口に入れかけた鳥肉をこぼす。


すると、夢衣はトレイの上に落ちた鶏肉をつまんで自分の口の中に入れた。


夢衣「間接ちゅー♡」


来虎「はいはい。それくらいならいいよ。」


夢衣「んぅー…、なんでダメなの?」


来虎「お互い好き同士じゃないとダメだろ?」


夢衣「私のこと、知ったらいいみたいなこと言ってたじゃん。」


と、夢衣は拗ねた顔をして唇をいつも以上に尖らせる。


来虎「…あのときはびっくりしてそう言っただけ。夢衣も好きな人とキス出来た方が良くない?」


夢衣「それはそうだけど…、違うもん…。」


そう言って夢衣はほっぺを膨らましてフグみたいな顔をすると、1番拗ねてる時にする体を揺らす動きをし始めた。


来虎「ほら、拗ねないで。鶏肉一緒に食おう。」


夢衣「口移しでくれるならいいよ。」


来虎「それはダメだけど、食べさせてあげるから。」


俺は自分の手でちぎったフライドチキンを拗ねてる夢衣の口に近づけて開くのを待っていると、突然口が開いて俺の指も一緒に食べた。


来虎「ちょ…、舐めないでよ。」


夢衣「チキンの油、美味しいなー。」


と、夢衣はわざとらしく言ってまた俺に食わしてもらうために口を軽く開いた。


俺は観念して夢衣に何度も指を食べられ、気の済むまでチキンの油を舐めとってもらった。



環流 虹向/ココのさきには

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