20:00
俺は夢衣と一緒に路面店がずらっと並んでいるショッピング街道で天ちゃんへのプレゼントと夢衣が着るドレスを買い終え、しっかり腹を満たして帰ろうとしていると夢衣は閉店間際のとある店で足を止めた。
夢衣「これ…!天ちゃん絶対似合う!」
と、夢衣は目を輝かせて俺の腕を引っ張り鍵をかけようとしていた店員さんにショーウィンドウに飾っていたドレスを買いたいとお願いした。
すると店員さんはこの1点だけならと言って、夢衣のわがままを通してくれた。
一緒にラッピングを待つ俺はあまり人の買い物に口を出したくなかったけれど、腰が開けたドレスを中学生に着させるのはどうなのかなとどうしても思ってしまった。
来虎「…背中側のデザイン、結構色気があるけど大丈夫?」
夢衣「ん?…あ!あそこ、あみあみになってるんだね!可愛い!」
そう言って夢衣が待合いのソファーから立ち上がり、ドレスのデザインを改めて見に行くと店員さんが俺にドレスを入っている紙袋をくれた。
来虎「ありがとうございます。夢衣、受け取ったよ。」
夢衣「急に押しかけたのにありがとうございます!私の大好きな友達もきっと大喜びです!」
夢衣は自分の買い物が全てうまくいったことにとても嬉しそうな笑顔で店員さんに伝えると、店員さんは少しの時間固まって顔を少し赤らめながら俺たちを見送ってくれた。
俺はその様子に恋が生まれたのを目の当たりにした気がして、また気持ちがもやつく。
夢衣「いい買い物したねっ。ステーキも美味しかったしいいデートだったー。」
来虎「天ちゃんのプレゼント選んでくれてありがとう。女の子にプレゼント買ったの初めてだから助かった。」
夢衣「え?莉李ちゃんは?」
来虎「妹と母さん抜いてかな。」
俺がそう言うと夢衣はまた色を変えた唇を尖らす。
夢衣「私のはー?」
来虎「まだ選べてない。」
夢衣「家族以外の女の子にあげるプレゼントを自分で選ぶのは初めて?」
来虎「まあ、そうなるね。」
夢衣「だったらいいよ♡」
そう言って夢衣はまたご機嫌な顔に戻り、駅に着くと自分の家には行かない路線へ行こうとする。
来虎「なんでそっち?」
夢衣「クリスマスプレゼント、一に早めに渡しちゃおうって思って。」
来虎「…なんで?」
俺は元彼の家に行こうとする夢衣に胸がモヤつき、少し息苦しくなる。
夢衣「だって、彼女のねねちゃんがいる前であげるのちょっと気が引けるもん。」
彼女がいる男性の家に女性1人で行くのもどうかと思うけど。
そう言いたくなった嫌な自分の言葉を振り払い、いつもとは違う電車に向かう夢衣を見送った。
一さんが好きなのは夏に俺と一緒に作ったアルバムでよく知ってはいたけど、彼女がいることも、最後のデートをしたということも、電話で泣きながら教えてくれたけどまだ諦められていないのかな。
だったらまだまだ夢衣が1人なのは続くし、また寂しそうな電話をしてくるのは変わらない。
あの日、幸せになるまでって決めたけどまだまだ時間がかかることを確信した俺は東京にいる友達に少しアドバイスをもらうため、明日遊ぶ約束を取り付けた。
環流 虹向/ココのさきには
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