第20話
場内は騒然とした。
俺は目が点になってたし、藤島くんは俺のシャツの襟ぐりからパッと手を離した。
「連れてくの、ちょっと待ってよ、まだ、私、シンジくんに
連絡先、渡してないのよ...!?」
「えー、何分待てばいいんですか??
てか、そのシンジくんて、ヒロちゃんの
なんなの...!?」
ヒロちゃん...。
そのフレーズに、周りの反応がヤバかった。
俺はアイドル界隈に疎いけど。
他の男どもや女は、立ち上がり、
マヒロに群がろうとした。
「う、嘘...」
「ヒロちゃん、て、あの、ヒロちゃん!?」
「お、俺、サインほしい!」
たたたっと、マヒロが、
俺に超小声で耳打ちした。
私の電話番号は、
「090....」
「シンジくんなら、一瞬で記憶できるでしょ?」
「ごめん、それじゃ、またね...!」
怒涛の勢いで、マヒロはイケメン兄ちゃんと
会場から、逃げてった。
周りの連中は、追っかけようとしたし、
藤島くんも追いかけようとしたけど、
なんか、黒ずくめのスーツを着た屈強な男どもに阻まれ、会場内へと戻らされてた。
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