英雄様は何かを感じ取るようです

 あれから数日が経った。英雄はトカゲと修行をしては狩りに行くを繰り返す日々を過ごしていた。そのせいかなぜかトカゲに感謝されてしまった。トカゲいわく、私がいることで狩りに付き合わなくてもよくなったとのこと。英雄は何も考えていないように見えて、私の周りが安全であるよう考慮しているようだった。


 さすが英雄様と思ったのもつかの間、英雄は唐突にこんなことを言い出した。


「東で何か起こる気がする……。行かなくては」


 英雄はどうやら一般人には感じ取れない何かを感じ取るようだ。

 そういえば物語に登場する英雄も妙に感が鋭いと感じる時がある。あれはその物語を執筆した作者の力不足だと思っていたのだが、本物の英雄は直感的何かが使えるみたいだった。

 英雄の言葉を聞いて、私も旅の準備をしようとしたら、唐突にトカゲが英雄の間に出て跪く。


「唐突ですがお暇をもらおうか……」

「やらん、なぜトカゲをやめさせにゃならん。お前にはやるべきことがあるだろう」


 そう言って英雄は私にちらりと視線を向けた。狂人に見えても英雄はやっぱり英雄だった。ただ、寝不足のせいで呆然とする頭で正しい文章が書けているか、かなり不安である……。

 東への旅路ではしっかりと睡眠時間が取れるといいなと思いながら、私はメモを取っていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

史上最強の駄作~睡眠時間削ってそのまま書いたらこうなった~ 日向 葵 @hintaaoi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ