【23】赤い昼③

 うずくまり、黒い湯気がのぼる取り巻きの背中が沸騰した様にボコボコと沸き立ち


体が膨らむ。


 服が裂けあらわになった皮膚はただれた様に赤い。


「GURRR」


顔も赤く目は白目まで青い。


額には2本の角が生えている。


「魔族の奇襲だ!みな先生達の外に!」


 上半身が5倍位大きくなった取り巻きがギルスロットを睨む。


 下半身は湯気が上がってるだけで元のまま。


這いつくばるだけで立ち上がれない様だ。


「ちょっとあんた、逃げるよ!」


 腰を抜かしたギルスロットを引きずり近くの教諭の側に向かう。



 その間も空は赤みを増していく。



 遠巻きに見ると魔族は数十体はいる。


 武闘派の教諭が引き付けて居るが、元々魔族が潜んで居たのか、生徒が豹変したのか分からないので手を出せないでいる。


 その間に下半身まで巨大化したモノが立ち上がってしまう。


「やむ終えない、責任は私が取る!」


 院長の一言で攻撃を開始するが、容易くはない。


 テーツも奮闘しているが気が引けている感は拭えない。


「多くの生徒を守る為だ、覚悟を決めろ!」


院長が一体を一刀両断して活を入れる。




 空は更に赤くなった。まるで血の様に濃い。



「みんなは近付かない様に・・・うっ」


  ブォン!!


 クレオ達の側に居た教諭が嗚咽を漏らしたかと思うと爆裂した。


 何人か風圧でぶっ飛ぶ。


「きゃあ!」


 音と悲鳴で周りでも同じ事が起きているのは推測出来るが、クレオ達にそちらに気を遣る余裕はない。


「何なんだよこれ」


 教諭は一気に体が膨らみ、その反動で爆裂が起こったのだ。



 巨大な赤い腕がクレオを襲う。



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