【21】赤い昼



「エリスちゃん達も明日帰っちゃうんだね」


マミアが言う。


「2日間だけだよ。」


 夏期休暇残り10日の時点でエリス達は帰省する事にした。


「マミアちゃんも一緒に行く?」


「え、お邪魔したら悪いよ。」


「家って言っても孤児院だから」


「そう。だから1人2人増えたって邪魔とかないよ」


「うん。マミアが来たらみんな喜ぶと思うよ」



「ついに君達も帰るんだね」


ギルスロットが寄ってくる。


「別にいいじゃない」


「僕は1日も帰らないよ」


まるで帰省することが負けとでも言いたげな笑みを浮かべる。


 取り巻きはうんざりした顔をしている。


 休みに入って四六時中ギルスロットのお供をしなくてはならないは同情するが、自業自得だとクレオは思った。


「成績悪くて恥ずかしくて帰れないだけだろ?」


「なんだと!」


クレオの一言に嘘でも余裕をかまして居たギルスロットが声を荒げ、胸ぐらを掴む。


「お、図星か?」


「貴様!」


「ちょっとやめなよ」


「・・・何だあれ」


 殴らせる覚悟だったクレオを止めたのは空だった。


「何誤魔化そうとしてるんだ」


「いや、ごめん。謝るから空見てみてよ」


 クレオの呆けた言い方にみんな空を見上げた。



 太陽が少し欠けていた。


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