【18】
「あぁ、また負けたぁ」
試験後の夕食。
エリスがアルマンを見て思い出しムカつきをする。
「前に戦った時よりも接戦だったじゃないか。」
「でも負けは負け」
アルマンのフォローに被せてクレオが嫌みを言う。
試合の仕返しがごとく。
「あんたも負けは負け」
エリスに言い返されて口をつむぐ。
試合後すぐにエリスが触られたのは嘘だと公言したので、学院からの音沙汰はなく、今も当事者2人が一緒にいるので生徒間の評判も落ちずにすんだ。
「クレオって試験の時、祝福使わないよね。なんで?」
とロエル。
「ん?使ったら卑怯な気がしてね。」
「は?あんたバカ?」
エリスが言う。
「皆、何かしら『祝福』を授かってるんだから、気にする事ないのよ。 それにクレオのいい方だと、常時発動型のアタシなんて卑怯の権化じゃない」
「エリスは卑怯だけどな」
首根っこを掴まれる。
憎まれ口を叩く時は必ずエリスの手の届く場所にクレオが居るのをマミアは最近気がついた。
「俺なんかはさぁ、」
ストムが2人の絡みをスルーして会話を続ける。
「鍛冶屋の息子で、祝福も『鍛冶』じゃん。 ここじゃ評価されにくいけど満足してるんだ。」
「私もそうです。クレオさんの考えだと私達みたいな『祝福』の人を下に見てるみたいで失礼だなって思っちゃいます。」
「・・・そっか。ごめん」
「いえ。クレオさんがそんなつもりじゃないのは分かってますから」
「マミアはいい子ねぇ」
エリスがマミアを撫でる。どさくさに紛れて身体中。
「ちょっとエリスちゃんやめて」
これにはクレオじゃなくてもムラっとくる。
ロエル以外。
「だからクレオも次から使ったら?」
「うん。そうだな」
「夏休み明けは部屋変えだから頑張らないとね。」
「あぁ、おんなじ部屋がいいなぁ」
ストムが言う。
「次もギルスロットと一緒だったりして」
「そしたらアルマンまた代わってよ」
「次はない。」
「えぇ!勘弁してくれよ。そしたらお前の部屋に毎日入り浸るからな!」
「そしたら叩き出す」
「お願いだよアルマン。友達だろー」
ストムがすがり付くのをアルマンが押し返す。
ロエルはクスクス笑いながら、こんな生活が続けばいいなと思っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます