【7】エリス準決勝

 準決勝からルールが少し変わる。


 場外と転倒による一本は無し。


 中央に試合場を移し広くなっているのでほぼ場外に出る事はないが、もし出てしまったら一旦止めて真ん中に戻って再開。


 転倒では試合を中断しないので、追撃が必要になる。


 一撃喰らわせたら終了は変わらず。



「相手何だか強そうだね」


 エリスの相手は同い年とは思えない程体が大きく、精悍な顔立ちをしている。


 頭を剃っているのも年上に見える要因かもしれない。


「祝福も強そうだ」


 名札にはアルマン・サエモンと言う名前の下に祝福も記載されている。


 『武者』とある。


「両者前へ!」


審判に促され二人は対峙する。


 エリスは木剣。一方アルマンは長い棒。


先端に布が巻かれていてそれが刃を模している。


 彼は槍使いなのだろう。


「両者構え、初め!」


(先手必勝!)



 エリスが瞬発力とスピードで開始早々懐に入り込み、剣を振り上げる。


 彼女の十八番で、分かっていても彼女の速さに敵わず一撃を食らってしまうのが常。


 だか、アルマンはすんでのところでかわし、石突きを振り上げる。


エリスは即座に後退し、それをかわす。


「かわされた!」


「しかもたぶん偶然じゃないぞ」


 アルマンは次々突きを繰り出し、エリスに反撃の隙を与えずジリジリ後退させる。


「場外、待て!」


 クレオとロエルは同世代に押されるエリスを初めて見た。



 中央に戻り、試合が再開される。


(今度こそ!)


 エリスはまたも先手で懐に入りった。


今度は振り上げるのではなく、突く。


 どう避けようが自分のスピードが勝るとエリスは思っていた。


 だか、アルマンは避けずに柄を剣に沿わせ、回して軌道を変える。


 勢い余ってバランスを崩したエリスの首筋に布が軽く当たる。


「それまで!」


「うわぁ、負けたぁ!」


エリスは大声で言うが何処と無く清々しい。


「あなた強いね」


「君こそ。正直もっと早く決着着くと思ってた。女の子なのにビックリだ。」


「アタシも初めて同い年に負けてビックリ。 次は負けないからね。」


「ああ。楽しみにしてる。」


二人の握手で自然と拍手が起こった。




「負けちゃったよ」


エリスはクレオらの側に戻る。


「相手つわものだったな」


「うん。でも楽しかった。」


エリスは満足気だ。


 彼女のそう言うサッパリした所が同性な受けるのだろうし、二人も好きだ。


「次はクレオの番でしょ?相手は・・・げっ」


 相手はギルスロット。


「あいつ、なんか嫌い。」


 二人も同感する。


「でも、勝ち上がって来てるって事はそれなりに強いんだな。あいつ」


「そんな事無いと思うよ。」


ロエルはギルスロットと同じグループだったので二人より相手の試合を見る機会があった。


「何だか忖度強要してる様に見えた」


「うわぁ、やな感じ。クレオ、負けさせられた子達の為にもスカッとする勝ち方してよね!」


「んー、やってみるよ。」


ネロはそう言って立ち上がり、試合へと向かう。


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