第43話 大地なる世界樹
草原を超え、森を超え、大きな河川までを超えて、ガモリは走り続けた。
途中で村や街に宿泊したり、野宿したりを繰り返して、あの高く聳え立つ目的地を目指してガモリは連日、走り続けた。
「着いた!」
港街リューコを出発して五日目にして、
この街は
「それにしても本当に大きいよね。本当に、これが一本の木だなんて信じられないよね!」
この街も既に
まるで地面にしか見えないこの道も
「ホントにね! 周りに生えている木も植物も全部、
「へぇー、
そんな会話をしながら、街中を進み、今日の宿を探した。
「じゃあ、無事に登頂出来る事を祈って! 乾杯~!」
「乾杯~!」
宿を見つけた後、この街の酒場で登頂前の最後の晩餐にした。
三人と一匹は丸テーブルを囲み、この街名物の森で採れた新鮮食材のフルコースを目の前に心を踊らせていた。
この店で出て来た料理もまた見たことのない食べ物ばかり。
カラフルで変な形のキノコや山菜に、これまた大きなブルンゴの骨付き肉に、何かは分からないが小動物の肉も。
見た目こそ悪い食材も、食べてみるとこれがまた美味だ。
美味しい物を腹いっぱい食べて、明日からの過酷な旅の前に少しでも英気を養うのだ。
「改めて、
「そうだよね! だから、私も一生に一度は登りたくて、はるばる
「アヤメはじゃあ、他の島の出身なの?」
「うん!
「それにしても旅にずいぶん慣れているよね?」
「本当に? 結構、一人旅が長いからね!」
「そうなんだ! どれぐらい旅してきたの?」
「そうだね……。二年……もうすぐ三年かな……?」
「凄い! そんなに一人旅続けるのに何か目的とかあるの?」
「目的……? そんな大層な事じゃないけど、あるとしたら今まで見たことの無いこの世界を見たいから旅をしているかな……」
「そういうの、すごく素敵だと思う!」
「ありがとう!」
「でも一人を続けて寂しくなったりしないの?」
「全然、レイナやエンみたいに今までにも色んな人とも出会えたしね!」
「アヤメは強いんだね!」
「そうかな? ところで、二人は何で旅してるの?」
「……うーん」
俺たちはお互いの顔を見合わせた。
「敢えて言えば、元の世界に帰るため……?」
「元の世界……?」
「話すと長いんだけど……」
アヤメにも俺たちのこれまでの経緯を全て話した。
「そうだったんだ……」
「信じられない話かもしれないけど、実は私たちは異世界から来たんだ……」
「異世界……?」
「この世界じゃない、別の世界って言えばいいかな……信じられないよね……」
「私は信じるよ! エンもレイナもいい人だもん! 嘘を付くような人には見えないよ!」
「ありがとう!」
「何か手がかりが見つかるといいね! 私もできることがあれば手伝うよ!」
「本当に! アヤメ、何から何までありがとう!」
「いえいえ! あっ、もういい時間だし、そろそろ宿に戻ろうか?」
「そうだな」
「明日からかなり大変になるから、二人とも今日はぐっすり休むんだよ」
「分かった!」
俺たちは宿に戻り、明日に向けて就寝した。
いよいよ、ここから過酷な木登りが始まる。
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