部活動戦争

@azarasiseal17

原点編

主な登場人物紹介

 理科思考部

 高端、奥野、川嶋、清水、古畑、萩原、木下、白鳥

 テニス部

 竹下、鈴木

 ソフトボール部

 橋本、浜田

 弦楽部

 唐田、岡谷、張野

 美術部

 新島

 帰宅部

 桃倉


プロローグ

 二人は電車の中にいた。女子生徒はスマホをいじり、男子生徒は外の景色を眺めている。青々とした木が次々と現れては消えてゆく。男子生徒は女子生徒の異変に気づく。

「ねえ、今スマホに...」

「いや、なんでもない。」

「大丈夫?顔色もあまりよくないよ。」

「気にしないで。」

「...う、うん。」

 男子生徒は、また外の景色を眺め始める。青々とした木がまた見え始めた。



~原点~

 一

 ―今日は学校へ行く日だ。やっぱり月曜日の学校は辛い。昨日は夜更かしして一時半まで起きていたので、なおさらである。しかも家は遠いため五時に起きなければならず、体がだるい。授業の時間にすきをみて睡眠をとろう。うん。そうしよう。一晩に7時間は睡眠をとれと言われたことがある気がする。だから、あと四時間半授業で寝ればちょうど7時間くらいになるだろう。ん?三時間半か?まあ、好きなだけ寝てればいいか。―

 いつも睡眠不足の高端真治たかはたしんじは、今日も授業中に寝ようとしていた。部活は理科思考部、中学二年である。成績はいつも寝ている割には中の上。人一倍悪いわけではないので余裕でいた。今日も、いつも通りに授業が行われるはずだった。しかし、学校には異様な雰囲気が漂っていた。先生が一人もいないのだ。しかし、学校の門や、教室の鍵は開いている。一瞬、職員会議をしているのではないかという考えが高端に浮かぶ。だが、駐車場に車が一台もないのは不自然であった。

 クラスメイトのうちの一人がこんなことを言い出した。

「今日は誰か他の学校の先生とかが訪問に来るんじゃないの?だから、車はお客さん用に駐車場は空けてある。先生がいないのは違う教室で会議でもやってんじゃない?」

 彼はクラスでもリーダシップがあり、理科思考部に所属している奥野健おくのけん。「奥」を抜くと、「野健」になるので、野犬と呼ばれている。彼の意見に納得したクラスの生徒は、先生のことはかまわず読書をし始めた。八時二〇分、読書が終わる時間だ。そろそろ先生が来るだろうと生徒は思った。しかし、先生が来る様子は一向にない。もう少し待つ。数分経つ。先生は来ない。もう少し待つ。数分経つ。先生は来ない。時刻は八時三五分。生徒たちの顔がくもり始める。こんな状況をみて、野犬が、他のクラスの状態を確認しに行った。

「2A、2C、2Dどのクラスも先生は来てないみたい。職員室にも行ってみたけど、誰もいなかった。」

 高端にとって、授業は嫌いなので受けなくていいのは好都合ではあると思うが、さすがに誰も先生が来ないというのはまずいと思った。生徒たちもざわざわしている。クラスの中でリーダシップのある野犬、桃倉椿、新島蒼太が、他のクラスの生徒たちと、話し合いを始めた。そろそろちょうど九時をむかえる。すると、野犬たちが帰ってきた。

「とにかく、携帯で親と連絡を取って、今日は帰るのが一番いいかもしれない。教室管理係の人、鍵を持って来てくれる?」

「わかった。」

 教室管理係の竹下一也が、職員室に行って、教室の貴重品がしまってある棚の鍵を持ってこようとした。そのとき、いきなり同じクラスの川嶋幸太が、勢いよく教室に入ってきた。

「ねえ。昇降口をうろうろしてたら、こんなものを見つけたんだけど。」

 勢いよく入ってきた割には、声が落ち着きすぎている。彼は、いつもクラス内で、「声のイントネーションがなさすぎる」と言われ、「そんなことはないよ。みんなの耳がおかしいだけ」と、心のこもっていない声で返すという会話を繰り返している。これでも生徒会の委員だ。

 川嶋は一つの手紙を見つけたらしい。それを川嶋が読み始めたとき、クラス内は驚愕した。

 

 二

―おかしい。どう考えてもおかしい。誰があんな手紙を送ってきたのだろう。あんなことが実際に起こったら、世紀の大事件だ。―

 竹下一也は混乱していた。川嶋があの手紙を読んだとき、夢でも見ているのではないかと思った。竹下は自分の頬をたたくが、痛みを感じる。あの手紙には、こんなことが書いてあった。

「丘町高校の二年次のみなさん、おはようございます。学校に来てから皆さん驚いたでしょうね。だって、先生が誰もいないんだから。そして、今日は、一年次生は、昨日から合宿でいない。三年次生は、研修で青森に行っていますから、この学校にいるのはあななたたちだけです。教師たちにも教師たちの連絡用のネットワークをハッキングして休んでもらっています。―」

「んー...最初から少し違和感は感じていたんだよな...毎年丘町高校には各年次の校外学習とかが重なって、学校にいる年次が少なくなる期間がある。そうすると誰かが最初からこの時期を狙っていたのか...」

 一人でブツブツしゃべっていると、隣の席の岡谷咲奈が声を少し大きくして竹下に言った。

「いや、そこじゃないでしょ!最後まで聞いてたの?部活動同士で争うなんておかしいでしょ!」

「んんー。そうだな。」

 その手紙の続きにはこう書いてあった。

「―そこで、皆さんには、部活動戦争をしてもらいます。部活動戦争とは、その名の通り、同じ部活動の生徒たちで集まってもらい、他の部活動を攻撃するのです。どのように戦争してもらうのかは各部活動に任せます。その戦争に勝利した部活動の生徒は、この学校から抜け出せます。では、頑張ってくださいね。」

 そう。文章にもあるように、部活動同士で戦えと言う恐ろしい趣旨の手紙であった。そこで竹下があることに気づく。

「ん?ちょっと待てよ。勝利した部活動の生徒は、学校から抜け出せるって、今は学校から抜け出せないってことか?」

「え、うそ?帰れないの?!」

 岡谷が大きな声を上げる。周りの生徒が岡谷の方を一斉に振り向く。

「ちょっと、待って、私確認してくる!」

「あ、岡谷さん、ちょっと待って!」と新島。

「さっき川嶋君が確認してくれたのに。」

「え、確認したってどういうことだよ?」

 竹下は新島に訊いた。すると、川嶋が話に割り込んでくる。

「手紙を見つけてから、一応学校に鍵が掛かっているかどうか確認したの。そしたら、校舎の入り口の鍵は開いてた。だけど...」

「だけど?」

「学校の敷地内から外に出ることができないんだよ。」

「なんでだよ?跳びこえられるだろ。」

「むり。」

「おまえは理科部で運動神経がよくないから無理ってことか?俺はテニス部でバリバリ運動してますから跳びこえられるけど?」

 理科思考部は略して理科部と呼ばれている。

「むり。」

「なんなんだよ!どういうことか説明しろ!」

「んー。一回校門に行ってみたら...やっぱ話せない。これを説明するのはちょっと...」

「なんなんだよ!そこまで話してなんなんだよ!」

「『なんなんだよ』が多いよ、かずっち。」

 竹下は、生徒からかずっちと呼ばれている。竹下がもう諦めて自分で確認しようと思ったとき、外から悲鳴がかすかに聞こえた。岡谷の声だ。

「あ、まさか。」

 悲鳴を聞いた直後に川嶋が言う。それと同時に、竹下、新島、桃倉、野犬が外に向かって走った。しばらくして、校門の前に数人の生徒が集まった。悲鳴を聞いて、他のクラス生徒も集まってきた。他のクラスの生徒にも、あの手紙の内容はもう伝わっていた。

「どうしたの?何があったの?」

と緊迫した顔で桃倉が岡谷に事情を訊く。岡谷が息を荒くしながら答える。

「校門は閉まってたけど、外に出れそうだったから...よじ登って...外に出ようとしたんだけど、門を触ったら急に手が...」

 桃倉が岡谷の手を見ると、やけどのような痕がついていた。そこで新島が、校門をよく観察すると、何か配線のようなものが門の端につけられていることに気づいた。

「電気が通っていたのかもしれない。みんな、とにかくこの校門からは離れて!」

 新島が周りの人にそう言うと、パニックになった生徒たちが、走って校舎の方に向かった。

「桃倉さん、岡谷さんの手当をよろしく!」

「わかった。新島君はどうするの?」

 残っていた生徒の一人である新島に訊いた。しかし、無反応であった。それどころではなかったのだ。竹下に関しても同じである。二人は川嶋に問いたださずにはいられなかったのだ。まるでタイミングを狙ったかのように、川嶋が来た。

「おい川嶋!なんで最初に言わなかったんだよ!おかげで岡谷がこのありさまじゃないか!」

 竹下が大声で川嶋に言う。そこで新たなことに気づく。

「新島!おまえも川嶋から話を聴いていたんじゃないのか?岡谷が走って校門に向かったとき、すぐに止めればよかったじゃないか!」

「いや、違う。新島君は悪くない。僕がそこまで伝えてなかった。」

「気づいてたならなんで言わなかったんだよ!」

「配線がある時点で電気が流れているのかもしれないと思ったのは事実。だけど、まだ自信がなかったから、言えなかった。ごめん。」

 あまりの竹下の怒りように、新島は川嶋に怒りをぶつけることさえできなかった。


 三

 ―どうすればいいだろう。この険悪な雰囲気を。親友同士の竹下と川嶋が喧嘩をしてしまって、校門から帰ってきてから、クラスの空気が重すぎる。あの二人が喧嘩をしたこと滅多にみたことがなかった―というか、喧嘩をしたことがない―ので、クラスメイトは凍りついたように静かである。なんとか仲直りしてくれ。かずっち。川嶋君。そうすれば、みんなで協力して、この学校から脱出する方法を話し合える。―

 二年B組の生徒である唐田雅人(からたまさと)は、周辺の生徒と同じように、静かにしていた。唐田は、国語が得意すぎるため、「歩く辞書」とクラスメイトから呼ばれている。唐田は、この学校から抜け出す方法を考えていた。そこで、竹下たちに恐る恐るこんな提案をした。

「あのさあ、この学校から抜け出す方法を考えない?学校の周りをよく観察したら、なにかいい案が浮かぶかもしれないし。ね?」

 隣の岡谷がいない竹下は、険悪な顔で答えた。

「どうせ川嶋が全部確認したんだろ?で、周りは全部導線が張られているんだろ?」

 川嶋は、竹下の嫌味めいた発言に動じず、冷たく返した。

「うん。周りは全部電気が通っていると思う。でも、何か脱出する方法をみんなで考えたって、どうせ無駄だよ。」

「そんなこといわないでよ。何か方法があるはずだよ...あれちょっと待って、携帯は?」

 唐田が重要なことに気がついた。それと同時に、竹下が思い出したように職員室に走った。竹下が鍵を持って帰ってくると、クラスメイトは希望を持った目で竹下を見つめた。

「うっかりしてたよ。これで親とか警察とかに連絡すれば一発だぜ。」

 竹下が貴重品が入っている棚の鍵穴に鍵を刺した瞬間、二年C組の清水有喜(しみずゆうき)が教室に入って来た。

「あの、携帯って使える?こっちでは全然使えないんだよ。というか、圏外になってる。」

 竹下は、一瞬固まった。少しした後、鍵を回した。そして、クラスメイトが、各自携帯を取り始めた。やはり、携帯は圏外になっていた。それをみて、唐田は言った。

「ここが圏外になるはずないよね?」

「うん、ここは基本的に圏外になるような場所ではない。圏外になる理由としたら、なにか電波を妨害するようなものが設置されてるのかもしれない。この学校の広さだと、その設置場所は屋上とか校庭とかの開けているところが妥当かな。」

 まるで専門家のような清水の返事に唐田たちは感心するとともに、失望感を覚えた。校外と連絡を取ることができないのだ。ついにクラスメイトたちはざわめき始めた。そのなかで、唐田は必死に脱出方法を考えた。そこで、外に校内の状況を知らせることができないかと考えた。

「あ!かずっち、外に何か投げて、僕たちの状況を知らせることはできないかな?手紙とか何か。誰かが通れば、気づいてくれるはず!」

「いいね唐田!さすが歩く辞書。早速紙になにか書いて、今の状況を伝えよう!だれか紙もってる人いない?」

「あ、私メモ帳持ってるからこれ使って。」

 理科思考部の古畑咲(ふるはたさき)が竹下にメモ帳を渡す。古畑は、部活で数学の研究をしている。数学では特に平方根の研究をしていることから、よく「ルート」と呼ばれている。竹下は、そのメモ帳に今の学校の状況を書き始めた。

「そうだ、電波妨害装置があるなら、それを破壊すればいいんだ。じゃあ、B組のみんなは、学校の外にメッセージを届けるのをよろしく。僕たちC組は、電波妨害装置を探してみる。」

 そう言うと、清水はC組に戻った。B組の生徒たちは、校外の人にメモ帳を見つけてもらえる確率をなるべく高くするために、たくさん紙を作った。数十枚書き終わったころ、時刻は一〇時を過ぎていた。そして、唐田、竹下、野犬、新島など、中心的な生徒が、校門の方に向かった。しかし、川嶋は行かなかった。

 

 そのころC組の清水を中心に、萩原楓生はぎわらふうとや、その他生徒たちが電波妨害装置を探すために、屋上に向かっていた。屋上といっても、ただ屋根が平らなだけで、直接行けるわけではない。C組の他の生徒や、A組、D組の生徒たちも、電波妨害装置の情報を聞きつけ、電気が通っている導線に気をつけながら、校庭を探し回っていた。清水と萩原は、近くに住んでおり、昔から仲がよかった。そして、彼らの近所には、機械の開発の会社に勤めている優しいおじさんがおり、よくふれあっていた。そのこともあって、機械系には詳しい。四階に着き、三年次の教室に入った。ベランダから上ろうと考えていた。しかし、ベランダから屋根までの距離は予想以上に遠く、手を滑らせたら、下まで落ちる危険があった。そこで清水たちは、脚立を持ってきて、ベランダから屋根に掛けた。そして、清水は、脚立を使い、上り始めた。


 竹下たちは、メッセージを書いたメモ帳を、消しゴムにつけて、校門から外に投げようとしていた。ソフトボール部の浜田卓哉もいた。

「よし。なるべく遠くに投げるぞ。浜田、よろしく!」

 竹下がそう言うと、新島が浜田に紙を渡した。

「わかった。とにかく遠くに投げればいいんだね、かずっち。じゃあ行くよ。」

 パンッ

 浜田が消しゴムを投げた後に、校舎から破裂音がした。それに驚いた浜田たちは、一斉に校舎を見た。どうやら、四階のどこかが破裂したようだ。その瞬間、竹下に嫌な予感が頭をよぎる。四階には清水たちがいるはずであった。

 教室にいた川嶋たちには、三年次の教室あたりから破裂音がしたのがはっきりとわかった。川嶋が勢いよく教室を出ていった。それに続いて、高端や古畑なども、教室を出ていった。取り残された生徒たちは、あまりのカオスな状況に、椅子に座っていることしかできなかった。


 川嶋たちは、四階に着いた。すると、三年A組の教室から少し焦げ臭い匂いがした。清水たちが被害に遭っている可能性がある。川嶋たちは、急いでA組に走った。すると、一つの机がめちゃくちゃになっていた。どうやら、机の中が爆発したようだ。その破裂で、窓も割れてしまっていた。

「清水たちは?」

 高端が言った。そして、震えた声で古畑が言う。

「まさか...」

「確認してみないとわからない。とにかくベランダに行こう。」

 散乱している机の破片に気をつけながら、川嶋はベランダに向かった。

「清水君、いる?」

 少しして遠くから返答があった。

「大丈夫。生きてます。僕たちはD組から入ったからなんとかなったよ。」

 清水が答えると、

「いや、こんな爆発を間近で見たのは始めてだよ。」

 と、萩原が感心したように言った。それを見かねて、女子生徒が言う。

「ほんと死ぬかと思った!これで平然としていられるのは頭おかしいって。」

「とにかく、みんな無事でよかった。それにしても、何で爆発したんだろう。」

 川嶋がそんなことを言っていると、高端と古畑がベランダに来た。

「あ、みんな無事だったんだね。本当によかった!」

「ところで、教室の床にこんなものが落ちてたんだけど、一体なんだろう?」

 高端が川嶋たちに薄い鉄板のようなものを見せた。まだ熱いようで、高端はハンカチで包みながら持っている。焼け焦げていて、ハンカチに黒ずんだ粉がついていた。

「え、これがどうしたの。」

「ここに、なんか彫ってあるんだよ。」

「あ、ほんとだ。」

 川嶋が、鉄板に触ろうとするが、まだ熱いことを思い出してすぐに手を引っ込める。

「あぶない、あぶない。まず、水で洗って汚れ落とそうよ。」

「そうだね。屋上に行くのは一回中止しよう。」

 清水が残念そうに言った。そして六人は、水道に向かった。すると、竹下たちが反対側から走ってきた。

「みんな無事だったのか。よかった。」

「竹下君、メッセージを書いた紙は校外に投げられた?」

 清水が訊くと、竹下は不機嫌そうに答えた。

「いや、あの破裂音で一つしか投げられなかった。それより、なにがあったんだよ。」

 すると清水は、その破裂音の原因を伝え、あの鉄板についても話した。合流して十人以上になり、水道に向かった。


 彼らが水道に着くと、例の鉄板を洗い始めた。すると、先ほどまでよく読めなかった文字が、はっきりと見えてきた。そこに書いてある文章をみて、高端たちは、言葉を失った。「ヨケイナコトヲスレバ、バクハサセル」

 しばらくして、新島が言う。

「じゃあ、さっきの爆発は、僕たちが外にメッセージを伝えようとしたからってこと?これじゃあ、外に助けを求めることも、僕たち自身が外に出ることもできないじゃないか!」「ということは、むやみに電波妨害装置を探さない方がいいかもしれない。というよりは、屋上に行かない方がいいかもしれない。きっと屋上に電波妨害装置があって、それに僕たちが近づいたから爆発したというのも理由の一つだと思う。」

 清水は、苦虫をかみつぶしたような顔で言った。さらに新島は言う。

「あ!もしかしたら、防犯カメラで監視されてるのかもしれない。なんか防犯カメラ増えてた気がしない?」

「え?」

 高端は驚いたように言った。高端は、たまに校舎の外で携帯ゲームをするので、(校則違反)監視カメラについては敏感だった。もしゲームをしているところがカメラに写ってしまったら、いろいろと面倒くさいことになるからだ。

「じゃあ、見に行こうよ」

 高端はいつも監視カメラを気にしてるだけあって、確認したくてしょうがなかった。早速高端たちは校門へ向かった。すると、最初の数より防犯カメラが増えていることがわかった。カメラの数は、たくさんあるわけではないが、すべての範囲を監視できるような配置になっていた。

「うわ、なんだこれ。僕たちの行動すべてが監視されてるってこと?気味悪ッ」

 高端が早口言葉のように言った。すると、新島が推理を始めた。

「AIが監視カメラで僕たちの行動を認識しているのかな?なにか怪しい行動をしたら、学校のどこかを爆破させるシステムをプログラムしてるとか?」

「なるほどね。」

 川嶋が真顔で返事をした。

「くそおっ!これじゃあなにもできないじゃないか!なんなんだよ!そもそも、俺たちに戦争をさせたいってどんな奴らなんだよっ!」

 竹下は、怒りで地面を蹴った。

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