5月18日(鶴舞→徳嶺)
徳嶺副主任
本日はお付き合いくださりありがとうございました!
『美味しい』と言ってとろける副主任の横顔、今でも網膜に張り付いております。
初めて入るラーメン屋で借りてきた猫のように大人しい副主任が私の見様見真似で注文し、蓮華をコップの中に落としたりちゅるちゅる麺をすするお姿がいじらしくて愛おしくて……。
これまで何杯ものラーメンを平らげてきましたが、あんなに美味しく感じたことはありません。
空腹こそ最高の調味料と思っていましたが、認識を改める必要がありそうです。副主任こそ最高の調味料であり、最高のメインディッシュ……と書いたところで引かれてしまうかなと思いペンを止めました。正解ですか? それとも続けた方が惹かれていたでしょうか?
副主任、ポエミーな年下彼女はいかがでしょうか? これから暑い季節がやってきますから、心の冷却器が傍にあった方が都合が良いのではないでしょうか?
……さて、では副主任が心待ちにしていることでしょう、謝罪をいたします。
この度は……軽率な行動をとり大変申し訳ございませんでした。心の底から反省をしております。経緯などをお話ししてよろしいでしょうか?
あれは二人とも濃厚スープと一杯のビールで火照った帰り道でしたね。三日月なんかも出ちゃったりして、それに見惚れる副主任が美しすぎて……私は……我慢できず、抱きしめてしまいました。申し訳ございません。
……言い訳はいたしません、全ての原因は私の理性が足りなかったこと。(強いて言うなら副主任が可愛すぎたこと)(あとやっぱり……そういう雰囲気かなって思ってしまって……)(雰囲気って二人で作るものじゃありませんか? 悪いのは本当に私だけでしょうか!?)
それに……あの
しかもそのあとです。俊敏な動きで私から三メートル程離れたあと、私の目をじっと見つめて、どうして『ありがとう』と言ったのですか? さようならと文字数が同じなのは気にしなくてもいいですか?
あの時、走り去る副主任を追いかけて再び抱きしめなかった私は正解ですか? 不正解ですか?
正直、今現在不安でなりません。
出勤して次に会う時、ぎこちないならまだいいです。もしなかったことにされているような態度を取られたら……そう思うと本当に怖いです。
苛まれ加害者、鶴舞 虹子より
苛ませ被害者、徳嶺 千束様へ
追伸
現在休憩時間ですが急いでこの文章を書き足しています!
副主任! 思いっきり無かったことにしてますね!
ダメですよ! イヤですからね!
私に抱きつかれてどんな感想を抱いたのか必ずお返事に書いてください!
これでお縄になっても悔いはありません! ありのままのお気持ちを! 何卒!!
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