ドイツで男女混浴・全裸のサウナデート!?

 1ヶ月後、楓が群馬から遊びに来た。

「温泉巡り、気持ち良かったよー。混浴の露天風呂入ったら、夫婦やカップルばかりで嫌になっちゃったけどさ。あ、これお土産ね」


 楓は群馬土産の水沢うどんとコンビニで買ったビールを私に預けた。


「楓は一人で混浴入るんだ。勇気あるね」


「だって、日本の混浴ってタオル巻いて入ってるじゃない。別に恥ずかしがることもなくない?ドイツのサウナって、男女混浴マッパなんだよ。ホント目のやり場に困っちゃう」


「楓、それ一人で入ったの?」


「いや、元カレとなんだけど…」


 楓には海外勤務の彼氏がいて、ヨーロッパ各地に会いに行っているのは知っていたが、私は一度も会ったことはなく、別れたという話も初耳だった。傷心と言っていたのはこのことか?


 楓の話によると、ドイツのサウナは男女混浴でタオルなど巻かずに入るのだそうな。

 彼氏に誘われて行ってみたは良いが、流石さすがに恥ずかしくて、通常ドイツのサウナでタオルは床に敷いて体には巻かないものなのだが、楓は1枚余分にバスタオルを持参して、体にも巻いていたとのこと。


「香り付きのミストサウナとか凄く気持ちいいんだよ」

「あと場所によっては、温水プール入りながら、バーカウンターでお酒を頼めるところとかあって…全裸でプールに浸かりながらカクテル飲んでるとか、日本でやってたら、ただの変態だよねー?」


 楓は笑いながら、そう話した。


 楓の素晴らしい順応力に感心しながらも、そんなところに彼女を連れて行きたいと思うものなのだろうか…と私は不思議に思った。


「ドイツ育ちで、そういう文化の中にずっといたならともかくとして、普通、彼女が他の男に裸を見られても平気なもんかね。元カレってそういうたぐいの変態だったか、楓のこと全然大事にしてなかったんじゃないの?」


 楓の表情が一瞬固まった気がしたが、次の瞬間には笑顔に戻っていた。


「両方かもね。特に後者に一票!」

「まぁ、もうどうでも良い相手だし、次行こ次!って感じで。今年中に良い相手が現れるといいなー」


 そう言うと、楓は手に持っていたビールをグイッと飲み干した。


 言わんでも良い一言だっただろうか…先程の自分の言葉に少しばかり後悔しつつ、友の幸福を願った。


 頑張れ楓…変な男に引っかかるなよ!


 そして、自分自身は3年も彼氏がいないという事実に気がつき、ため息をついた。

 人の心配してる場合か…


「楓、一緒に頑張ろう!」


 そして、何故か女二人で誓いの盃を何度も交わし…


 朝が来ると地獄の二日酔いが待っていた。





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