第25話 金曜の夕方

 家についてベッドに入ったのは0時をまわっていた。

 何とか朝はいつもの時間に起きれたがかなり眠い。


「夜更かしさせといて呑気なもんだな……」


 当然の如く俺のベッドで気持ち良さそうに眠るフレアを尻目に服を着替える。

 キツネさんはフレアがウチの学校へ自由に出入り出来るようにしておいたと言っていたが、別に俺が連れて行く必要はない。だから俺はフレアを起こさず1人で学校へ向かった。

 学校へ着くと昨日の事がなかったかのようにいつもの学校生活が始まる。


 朝はクラスメイトが来るまで宇都木との会話で癒され、授業もスムーズ、帰りものんびり電車やバスに揺られ家に帰る。

 家に着くとフレアが玄関で出迎え、そこからずっとくっ付いてくるから寝る時間までの2・3時間くらい相手をして就寝。これを毎日繰り返す。

 そしてやっと金曜の夕方がやってきた。

 金曜の夕方までなると都会疲れもピーク。しかも昼頃から雨も降っていて傘を持ってきていなかった俺はずぶ濡れになって家へ辿り着く。


「ただいまー。母さーん、タオルくれー」


 玄関から母さんに声をかけ、タオルを持ってきて貰う。その時、普段と違う事に気付いた。


「アンタ、傘持っていかなかったの?」


「ああ」


「拭いたらすぐにお風呂に入っちゃいなさい」


「そうするよ。そういえば、フレアは? 毎日出迎えてたのに……昼寝でもしてるのか?」


「え? フレアちゃんなら午前中にアンタの学校へ行くって出て行ったわよ」


「は? フレアがそう言ったのか?」


「いつも通りガウガウしか言ってなかったけど、寂しそうにしていたから『秋斗の学校へ行く?』って聞いたら頷いて楽しそうに出て行ったのよ。その感じだとフレアちゃんと会ってないの?」


「ああ……」


「雨も降ってるのにどこへ行ったのかしら。アンタ、フレアちゃんを探してきなさいよ」


「は? 嫌だよ。今、帰ってきたばかりなのに。それにフレアも子どもじゃないんだから、その内帰って来るだろ」


「それならいいんだけど……」


「じゃ、俺は風呂入るから」


 びしょびしょになった制服を洗濯カゴに突っ込んで湯船へゆっくりと浸かる。ボーッと浸かって疲れを取るつもりだったが母さんとの会話が頭をよぎる。


「帰ってくる……よな……」


 話の内容からするとフレアはお金を持っていないから電車やバスは利用出来ない。そもそもビビり倒していたから1人では乗れないだろう。

 そうともなれば徒歩で来るほかない。しかし、午前中に出たにも関わらず学校には来ていなかった。徒歩で来たとしても下校の時間までには着けるはずなのに。


「あーもうっ!」


 バシャバシャと顔に手で掬った湯を何度か掛けて風呂から早々と出て、出掛ける準備をする。


「待ちなさい、秋斗」


 玄関で靴を履いている最中に母さんに呼び止められた。

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