1歩目は誰かのために

シヨゥ

第1話

 誰かのことを思って、そのよろこぶ顔が見たくて行動する。すると自分のことだと鉛のように重い腰がすっと上がることが多い。


 たとえばファッション。好きな人が好む異性の格好が自分の趣味とは全く異なっているとしたら、相手の好みに自然と寄せていくはずだ。

 ファッションが変われば他人からのイメージががらりと変わる。そんな変化を自分から起こすのは正直かったるい。それは変わらないことが一番楽だからだ。

 しかし相手を思うだけで服選びにも熱がこもる。この服を着たら見られ方も変わるんじゃないか。万が一ほめられてでもしたらなんて妄想が原動力だ。これもまた相手によろこんでもらいたいという思いがなせる行動だ。

 それがたとえ相手に響かなくても、たとえそれでむなしい気持ちになったとしても、変化した自分という結果は残る。動けた自分という結果が残る。結果を生み出した体験が残る。行動は様々なものを生み出すのだ。その中には無反応だったあの子という記憶も含まれるのがつらいところではあるが。


 腰が重いときは誰かのためにと思ってみるべきだ。

 自分のこととなると変化を起こすのは本当に難しい。

 誰かのためになる。誰かが認めてくれる。そんな可能性があるだけで変化は簡単に起こせる。

 1歩目は誰かのために。2歩目は自分のために。

 そう思って変わり続ける日々を過ごしていこうじゃないか。

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