僕の彼女はデュラハンです。

御厨カイト

僕の彼女はデュラハンです。


「ふぅー、ただいまー。」


「あ、おかえりー。お疲れ様、ご飯できてるよ。」


「ありがとー。いやー、今日は疲れたよ。」


「そうなの?」


「あぁ、いまだに魔物は悪だと思っている奴らが攻めてきてな。まったく大軍を引き連れてきやがって、大変だったよ。」


「さすが魔王軍の幹部様は忙しいですね。」


「ほんとだよ。後処理も任されたから尚更ね。もぅー、ホントに疲れたよ。」


「それはそれはお疲れ様。今日はクレアの好きなシチューだよ。」


「やったー、君が作るシチューはホント美味しんだよね。」


「そう言ってもらえて嬉しいよ。それじゃあ、頭持っておいてあげるから、手を洗ってきたら?」


「うん、そうする。」


そうして僕はクレアの頭を持ちながら、食事の準備をする。


「良い匂いだ。とてもお腹がすいてきたよ。」


「そう?もうちょっとで出来るからね。」


「いやー、楽しみだ。」


クレアはすごくニコニコしながらそう言う。

僕も彼女のそんな顔を見て、思わず頬が緩む。


「それじゃあ、準備するから机に座ってて。」


「分かった。」


すると、クレアの体の方がクレアの頭を持って、机へ向かい、座る。

それを見ながら僕はシチューを皿によそい、机へと運ぶ。


「よいしょ、それじゃあ」


『いただきます!』


パクパクパク


「うん、美味しい!」


「それは良かった。」


クレアの体が机の上のクレアの口にスプーンでシチューを運ぶたびに、クレアは幸せそうな顔をする。


「君が作るシチューはホント美味しいな。今日の疲れが吹っ飛ぶよ。」


「そう言ってもらえて作った甲斐があるってもんだよ。もうお風呂とかも沸けてるから、ご飯食べたらすぐに入って疲れを落としてね。」


「君はホント、良い彼だな~。」


「そう?」


「あぁ、家事とか料理とかしてくれたり、私のこともよく気遣ってくれるしね。」


「彼氏としては当たり前だと思うけどね。」


「そう思えるところが君の良い所だ。」


「そうなのか。」


「あぁ」


クレアは優しい笑顔でそう言う。

だけど、すぐになぜか少し顔を曇らす。


「?、どうかした?」


「いや、こう考えると君がどうして私と付き合ってくれているのかが不思議だ。」


「えっ?」


「だってそうだろう。私は今でも嫌われている魔族だし、デュラハンという普通の人とは違う姿だ。」


「・・・フフフ、なんだそんなことか。」


「そんなことって私は結構気にしているんだぞ。君のような素晴らしい人間がどうして私と付き合ってくれているのかなんてな。」


「理由は簡単さ。僕が君のことを心の底から愛していると言う事だ。それに好きになるのに種族とかは関係ない。この世界で一番自由なものは『愛』だからね。」


「・・・・//////」


俺がそう言うと、クレアはぷしゅうぅぅぅと蒸気が出ていると錯覚するほど真っ赤な顔をする。

多分自分も今少し顔が赤くなっているだろうな。


「・・・も、もぅ、君という人は・・・。」


「嫌いになった?」


「今までよりももっと好きになった。」


「それは良かった。クレアに嫌われてしまったら僕は生きていけないよ。」


「それは私も同じだ。そもそも私は家事もできないから物理的にも生きていくことが出来なくなるけどね。」


「あはは、それは確かにね。」


「・・・少しは否定してくれてもいいじゃん。」


「だって、事実だからさ。」


「そんなに私は家事が出来ないかな?」


「まぁ、体の構造上難しいのも分かるけどね。少しは出来た方が良いかな。」


「うーん、そうか。それじゃあちょうど明日はお休みだからさ、家事教えて。」


「分かった、いいよ。それはそうとシチューが冷めちゃったみたいだね。」


「あっ、ホントだ。これはマズいな。」


「温めなおそうか?」


「お願いします。」


僕は自分のお皿とクレアのお皿をレンジに入れて温める。



なんと言うか、日常だな~。

今日もうちではのんびりとした良い空気が流れている。




こんな日常がいつまでも続いたら良いなと僕はレンジの温まったことを表すピーピーと言う音を聞きながらそう思う。







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僕の彼女はデュラハンです。 御厨カイト @mikuriya777

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