第28話(本物の勇者VS偽物の勇者)
リュウはアキに代わり、ワインのコルクをワインオープナーで抜く。アキが何となくでやった後だから、コルクが少し壊れてボロボロになっていた。リュウがワインをグラスに注ぐとコルクの破片も入ってしまう。そのグラスを仕方なく国王の前に運んだ。
「うむ、ご苦労」
「ははぁー」
リュウは取り敢えず、お辞儀をする。国王はワインを一口飲む。
「魔法使い、お前どこかで見た顔だな」
「他人の空似とよ、オホホ」
アキは三角帽子のつばで顔を隠す。アキはゼニア姫と瓜二つだ。
すると、一人の近衛兵が慌ただしくやって来た。
「申し上げます、国王」
「何事か?」
「先ほど勇者様ご一行がアナザーシープ城に到着されたとの事です」
「何!? 勇者ならここに」
リュウはハッタリをかます。
「ばっかもーん! 後から来たのが偽物だー! 見よ! この聖剣エクスカリバーを!」
老執事はデジャブだ。昨日と似た光景。
「どっちが本物の勇者か、闘わせて真贋を確かめましょう。国王」
「あい分かった」
老執事はリュウ達が怪しいと思っている。
数分して本物の勇者達が王座の間にやって来た。騎士、黒魔法使い、白魔法使い、シノビで構成されている。粗暴で柄の悪い連中だ。横柄な態度で言葉遣いも荒い。これが本物だ。
「国王はどこだ? カネを用意しろ。飯も用意しろ」
老執事は混乱する。怪しいと思ってたリュウ達がマトモに見える。
「どっちが本物か、ナイト同士で闘ってもらいます」
「俺達が本物だ。飯とカネはまだか」
勇者ご一行の黒魔法使いが国王のワインを横取りしてゴクゴク飲む。
「ゲホッ! ゲホッ! なんか混じってる」
バタッ。黒魔法使いは窒息になってぶっ倒れた。
勇者は剣を構え、リュウに襲い掛かる。リュウは身構えた。
「きえーーー!」
「真空波動拳」
勇者はリュウの真空波動拳をマトモに食らい、吹き飛ぶ。
「パラディンが攻撃魔法だと!? ズルいぞ!」
「あめーんだよ。俺達がガンダムだ……じゃなかった。俺達が本物だ!」
老執事が宣言する。
「勝負あり! 偽物一行を牢屋に!」
すると、勇者ご一行の一人、シノビがアキの喉元に刀の刃を当てた。シノビの動きが速いのと、リュウは油断していた。
「そこまでだ、偽物!」
「アキ!」
「リュウ君!」
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