第3話(ガチ勢)
リュウは夜の遊びに備えて昼寝をする。1時間ほどで目覚める。外から煩い音が聞こえてきたからだ。ドドッドドッドドッーー!
「う、はぁあ。なんだうるせえな。エキゾーストノートか? GTRのじゃねえな。車泥棒じゃないから一安心だが。これは水平対向エンジンかな? じいちゃんのポルシェ911カレラGT3とは微妙に違うし」
リュウは窓から駐車場を見ると、さっき引っ越しの挨拶に来たアキが積載車からスバルのインプレッサWRXSTIを下ろしてるところだった。
「あの子…………ガチ勢だったのか」
リュウはアキを只者ではないと思った。小柄なアキにしてはチューンされたインプレッサはじゃじゃ馬だ。
リュウはアキの様子を見に駐車場へ行く。ちょうど積載車が帰っていくところだった。アキはバックでインプレッサを駐車場に停める。
「凄いマシンだな、アキさん」
「大家さん、すみません。煩い車で」
「大丈夫大丈夫。俺のGTRもまあまあ煩いから」
「え、あのGTRは大家さんのですか?」
「そうだよ。俺の名前はリュウ。年も近そうだし、呼び捨てでいいよ」
「じゃあ私のこともアキって呼んでください」
「うん。アキはインプレッサでドリフトやるの?」
「リュウ君はエスパーですか? 確かにフロントのドライブシャフトを取って、リアには耐久性のあるS15シルビアのドライブシャフトを入れてます」
「魔改造のガチ勢か。俺はエスパーじゃないよ。キャンバー付いてたからさ。もしかして4ドリするのかなって」
「リアドライブのドリフトなら出来ますよ」
「スゲー」
アキはインプレッサのエンジンを切り、鍵を掛けた。
「リュウ君もドリフトするんですか?」
「まあね。南木曽峠のドラゴンって通り名がある」
「南木曽峠って認可峠ですか?」
「そうだよ」
ーー認可峠とは、道路交通法が認めるモータースポーツをしていい山道の事だ。勿論、税金を取られる。3時間で1000円だ。近場にサーキットがないドライバーに重宝されているーー
「良かったら一緒に走りに行きませんか?」
「良いねえ。行こ行こ」
「では今から支度しますね」
「夜に行くつもりだったが、まあいいだろう」
リュウは部屋に戻り、準備をする。GTRのキーと財布、携帯電話を持って駐車場に行く。アキは少し遅れて来た。女の子は色々とやることがある。
「お待たせしました」
「じゃ行こ。俺の後に着いてきて」
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