第2話


「いらっしゃいませー。こちらで御用件を伺いますねー。はい、魔法を使えるようになりたいと。かしこまりましたー。それではお手数ですが、こちらの書類に必要事項を書いて頂けますか?あ、赤枠の中だけで大丈夫ですよー」


「はい、ありがとうございます。確認しますねー。うん…うん…あ、異世界から来られた方なんですね。これは遠方からわざわざお越しいただきありがとうございますー。それでは初めてのご利用となりますのでこちらのパンフレットと一緒に説明を始めさせて頂きますね」


「まず魔法を使う為にはこちらの腕輪を付けて頂きます。これによってどこでも魔力を供給出来るようになります。あとは登録されている魔法の呪文を唱えれば使う事が出来ますよ。初心者にも安心の楽々設定です。よく使う呪文はショートカット登録も出来まして、手を伸ばして念じるだけで出ますよ。え?魔力って湧き出るもの?いやいや、そんな事ありませんよ。魔力は専門家が化石燃料から抽出し、各所に放出されております。生き物も僅かながらに持ってはいるそうですが、魔法一回使うのに百年は待たないといけないってレベルだそうですよ。だったらこっち使った方が楽じゃないですか」


「まぁ、使い方に関しましては、説明書も同封しておりますのでご自宅でよく読まれてください。」


「次に登録出来る魔法についてご説明致しますね。現在その腕輪は初期設定の状態ですので、必要最低限の魔法しか入っておりません。他の魔法を使いたくなりましたら最寄りの魔法ショップで買っていただいて登録して頂ければと思います。勿論ここにもいくつか置いてありますので、後でご覧になりますか?え…お値段ですか?んー…まぁ種類がたくさんありますのでお値段もそれに応じてって感じでしょうか」


「さて、それではご利用料金の説明に移らせて頂きます。まずは月々の基本使用料ですが、お客様様の場合、冒険者との事ですので魔法を使う機会も多いと思われます。ですのでこちらのデラックスパックをお勧め致します。使用制限も掛かりませんし、いかがですか?え…お値段が?あー…そうですねぇ。ですが魔物との戦闘中に魔力制限掛かって…なんて事にならないとも限りませんし…。あ、はい。ではこちらで。魔力制限が掛からないとは申しましたが、基本の無料使用分を超過した分は月々の請求額に加算されますのでご注意下さい。」


「次に保険の説明をさせて頂きます。魔法によって誤って事故等を起こしてしまった場合。当然賠償金が発生致します。その為の保険となっております。形式上では任意とさせて頂いておりますが、こちらとしてもこれは入っておかれた方がよろしいかと…はい、ありがとうございます」


「後、オプションになります。先程各所に魔力が放出されているとご説明させて頂きましたが、放出する施設の立地状況次第では魔力の供給が悪い場所も御座います。そういった場合に魔力の供給を助けてくれるこちら。オンオフは出来ますので困った時にだけ使えるようになっております。今回こちらもセットでご購入いただきますと、こちらの本体代金は無料に…って、あのお客様?え…あ、そうですか…分かりました。またご購入の機会がありましたら、是非とも当店へ。ありがとうございました」



「異世界の人って大概『こんなの魔法じゃない』って帰っちゃうけど、どんな魔法がある世界から来てるのかしら?」

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