第4話
カイオウ研究所。
従業員数2000人。
資本金1億円。
アズール株式会社と同じぐらいの大企業か。
正規雇用というわけではないので、企業の大きさはあまり重要ではないが、
それでも中小企業への派遣社員は、給料は安いのに正規と同じように扱われるのでこれぐらいの規模の会社に派遣されるのはうれしい。
で肝心の業務内容は、・・・。
「弊社は採用に関して面接重視をしております。そのため採用された方の業務内容も面接での印象で決めさせてもらいます。」
と契約書には、書いてあった。
面接重視ね。最近の会社の採用試験の流行だろう。10分ぐらいの顔合わせでそこまでわかるのか。
その上、人物を見るとはいうものの、しょせん、俺は派遣社員。
できる業務は限られているし、この会社のメインの仕事は、アズール会社と同じ製薬メーカーらしいので業務内容は、依然と同じだろう。
ロッキーは、いつも通り、朝の6時に起き、筋トレをしてしぶしぶ、会社に向かう。
彼も一日、よく家で考えたのだが、やはり男が、何もせず家で居座るのもよくないと思ったのだ。
ただ・・・、どうも乗り気にはなれない。
また、会社にコキ使われるのか。
はあっ・・・、ため息が、行く前から出るぜ。
カイオウ研究所は、家から徒歩と電車で1時間30分ほど。町の郊外にあり、とても大きな建物であった。
ビルというより工場だな。
ここで働くのか。
いったい、どんな仕事をするんだ?
ロッキーは、少し不安を覚えつつ、会社の入り口を探しながら入っていく。
ロッキーの面接は、15分程度で簡単な質問ばかりだった。
あなたの長所と短所を教えてください。
ストレスを感じたとき、どう発散していますか。
今まで、仕事をしてきて学んだことは何ですか。
etc。
カイオウ研究所のほうも、ロッキーをすでに派遣社員として採用するだったらしいので、念のための面接だったのだろう。
そのためか、面接が終了すると、すぐに採用通知をもらい、別室に移動させられる。
そして、別室にはもう女性3人、男性1人がいてロッキーを待っていたようだった。
薄暗い部屋で、円形の机の周りに並べてある椅子に彼が座ると、
「人数もそろったことだし、今から簡単なミーティングを始める。私は、この班の隊長をさせてもらう、大尉、マギー・ワトソンである。
発現遺伝子は、トラ。得意な武器は、ナイフだ。山や森林での戦闘を主にしている。」
椅子に座りながら足組をしている、黒いショートカットで、目が茶色の東洋風の女性が話始めた。
彼女の服装は、上は白いシャツで、下に着ている黒いブラウスが透けて見えており、下は迷彩服のズボンを着ていた。
いかにも、映画やアニメでみる女性軍人、いや傭兵といったところか。
だが、なぜそんな人が今、ここにいるのだ?。
「キミたちの仕事は、シン帝国の傭兵部隊として帝国の反抗勢力や帝国に攻めようとする国と戦ってもらうことである。
最初の任務は、まず、兵士として・・・。」
「ちょっと待ってくれ。俺は、何も兵士になるとは聞いてないぜ。ただここの会社の採用の応募があったから来ただけだ。
どうなっているのか、説明してくれ。」
ロッキーの隣に座っていた金髪の背の高い男性が、ワトソン大尉をにらみつけ、声を荒げた。
確かに、とつぜん、兵士になれって。
他の2人の女性も同様に思ったらしく、頷きながら大尉のほうを見る。
一方、大尉はやれやれといった顔だ。
おそらく、何度も同じ反応を新人の社員にはされたのだろう。
「いいだろう。キミたちが納得するかはわからんが、一応、説明しておこう。
カイオウ研究所は、帝国から依頼を受けて様々な研究、開発を行っている政府機関でもある、半官半民の企業なのだ。
そして、この研究所が、もっとも力を入れているのが軍事面の開発、例えば細菌兵器、化学兵器の開発だな。
とりわけ、傭兵の育成には定評があって、強化人間の研究をメインにしている。」
「だがらといって、いきなり私たちの意思も聞かず、傭兵になれなんてヒドイじゃないですか。この国には、人権があって確か仕事を選ぶ権利もあったと思います。」
今度は、真っ赤な長い髪の毛の女性がもっともらしい意見を言う。
20代ぐらいで若そうだが、知的そうな顔立ちでとても傭兵には向いてないだろう。
「その通りだ。だからこの会社のやり方が気に入らないなら、すぐに辞めてもらって結構だ。我々も無理に働いてもらいたいといっているわけではない。」
ワトソン大尉は、無表情で応える。
「キミたちが兵士として働きたいかどうかは、キミたちで決めろ。兵士として訓練中で、リタイアするのもありだ。
まあ、軍事秘密の兵器を使うのでここで学んだことは、薬ですべて忘れてもらうことになはなるがね。
決断する時間も与える。明日までに同意書を提出してもらえばいい。
以上だ。解散。」
大尉は、そういうとロッキー以外の3人の顔を見る。
そして、
「ロック・キリソン。キミだけは、少し残ってくれ。ゴロー・リーのジイさんから渡したい手紙を預かっているでね。」
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