case2-10 聖母神
清掃員の
朝6時から「LAST」という、なんだかよくわからない営業時間のその店は、だいだい日付が変わる頃には営業を終了する。
そして開店の朝6時までに、その店の全ての部屋を素早く清掃する必要があった。
「おはようございます!」
「はい、おそよーさん」
キビキビとした新人の黒服の挨拶に、
「ボイラーが壊れて修理していた201号室ですが、ようやく工事が完了しました。今日は、そこも掃除しちゃってください」
「あいあいさー」
妙である。
もう10日以上も工事中であったその部屋からは、情事のあとの匂いが「もわん」と充満している。そして何故かねずみ色のエアーベッドが倒れていた。ライオンの口からは、お湯もでっぱなした。
「なんでやねん!」
「研修の娘やろか? まあ、おばちゃんにはようわからんけど、この東京砂漠でがんばりや! 幸せの形はひとそれぞれや……」
よっしゃ、間に合った!!
すべり芸が持ち味の芸人が司会をする番組は、月曜日から金曜日の帯番組だ。
「また、その番組ですか? それ再放送ですよね?」
新人の黒服が質問をすると、
「わかっとらん、お前は本当になーんも判っとらん! 再放送でも楽しぃんが『クイズ!脳ベルSHOW』や! もちろん夜10時からのBS放送もちゃーんとみとるで! 金曜日は格別オモロいんや! 知っとるか? 最後のすごろくクイズの〝場所チェンジ〟の恐ろしさ!!」
「はあ……」
やたらと黒服に厳しいその店は、すぐにひとが入れ替わる。
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—— case2 美人博士と雇われの男 END ——
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