食べる瞑想 -瞑想 「オームΩ」 2024/4/10

「「オウム」って、言葉があるんですけど、

「宇宙」を表します。この言葉を、みんなで一人ずつ順々に声に出していって頂こうかなって思います。」


「「アオウム」とか、「オーム」とか、「難しかったら、ウーム」とかでも構いませんし、とりあえず、声に出していって貰いましょう。」

「では、私から行きますね。こちら周りでお願いいたします。」

「では、目を瞑って下さい。鼻から空気を吸って下さい。。。息を口からゆっくり吐き出してください。」


「アーム。」

「オーム。」

「オーウム。」

「アーオーウム。」

「ウォーム。

同じ説明を聞き、同じ音を表現していく。

音が違う。

響きが違う。

音の高さが違う。

声の大きさが違う。

声の性質が違う。

同じ筈で、全く違う。

一人として、似た音の表現が存在しない。

それぞれが、それぞれに異なり、誰が良いも悪いもなく、順々に楕円を描きながら音が響き渡る。

発せられた音が、誰のものかすら分からない。

不思議な空間だった。

不思議な時間だった。

誰かの音が遠くで鳴り響いている時、穏やかで静かで、空気の様な存在だった。

声の発生源が、順々に近づいて来るにつれ、私の中に存在する音も、ざわつき始めた。

存在しなかった筈の心臓の音は、急にバクバクと存在感を主張し始め、声の主が隣なのか?その奥なのか?もっと先なのか?意識がそぞろに散り初めだし、もう私の意識は、私のそこには、居なかった。どことなく、近づいてくる音の場所を特定するかの様に、意識の中で、まさぐり始めた。

なんとなく、なんとなく、隣のとなりのその隣の辺に来て、頭の毛先から、敏感に察知するかのように、目を瞑りながら、暗躍の空の中を目の玉の膜で、触って確認するような感覚が生まれ始めた。瞼を閉じながら、目玉はキョロキョロと、動き出す。もう。もう。もう隣だろう。。。

そう思った時には、耐えきれず、瞼を開けて、薄目で、音の位置まで確認し始めていた。それでも不安。たぶん。たぶん隣だと、目星を付けて、エイっと勇気を振り絞って、声を出す。

「アーオーウーム。」かわいくない声。

野暮ったい。かっこ良くもなく。ぼわんとする。

(違う違う。やり直したい。こんな声。こんな音。私じゃない。)たった3音の中で、忙しく、自分の発生した音を一生懸命否定する。

食べる時に「ジャッジしないで下さい。」

瞑想とは、比較や評価が無く、ただ起きていることをそのまま。だだそのまま。存在させる。

良いも悪いもなく、ただ今起きている。

ただそれだけ。


平和。

安心。

幸せ。

満たされた。

今、生きている。

今、感じ取っている。

感謝。

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