網戸

鳥野ツバサ

(一)

 私は虫が嫌いだ。理由は簡単、「動きが読めないから」。ある程度の大きさの動物は何となく次の動きが読める。虫は分からない。体重の軽さゆえに慣性がほぼ機能していないのだ。この間、飛んでいた蝉が服にとまった時は悲鳴を上げそうになった。そういう性格のため、私は虫がいてもあまり注視することはなく、自ら草むらや森に入ることもあまりない。私のような人にとって、「網戸の裏側の虫」は、虫をじっくりと眺める数少ない機会である。

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