僕、人魚に転生しちゃいました!

クロネコ

第1話 転生


気づいたら海の中に居たんです。


って言ったら信じてくれますか?

まぁ普通は信じないだろうね。

でも信じてくれる??



時を遡って数時間前。



僕は今、友達と海に来ている。

『今日は暑いから海に行っちゃおー!』という具合で

家から1番近い(車で)海に友達5人と泳いでる。


・・・いや訂正しよう、浮かんでいるのだ。

僕は他のスポーツならまぁまぁ得意な方なのに水泳だけ無理なのだ。

今26才。この歳でも泳げないのかよってよく馬鹿にされる。


無理を言わないでくれ、僕は水に入る事すら嫌なのに20才ぐらいでようやくプールに入れる程度にはなったのだ。(お風呂は入れる)


という事だから1人ででっかい浮き輪にのりユラユラと揺れてるのだ。

結構揺りかごみたいで気持ちが落ち着く。。


ヤバい・・急に眠けが・・



しまった!寝ていた・・

しかしどのくらい経ったんだろう?

余りにも周りが静か過ぎる。

あれ?目が重い・・・それに息苦しい。

身動きが取れない!?


・・・まさかとは思うが今、溺れてる?

待て待てまてまて!!!  これ下手したら死ぬやつじゃあ・・


うっ 息苦しい! 辛い! 叫びたい!

・・・あぁこれが死ぬって感覚か・・

やりの・こし・た・こといっぱい・・あっ・た・な・・・





意識はある。

天国か?息苦しくないな。

でも水の音がまだ聞こえるが・・

僕は薄っすら目を開けた。

そこには見たことも無い魚が水中を行き来して、サメよりも一回り小さな魚はその行き来している魚をパクリと食べている光景が見えた。


『なっ!』と、驚きの声を上げようとしたが、何故か喋れない。


まずは手は・・あるな。

ん?何だか手が凄いほっそりしてるな?

足は、っと・・・・・『はぇ???』


僕の足は鱗、つまりは人魚の足と言うと分かるだろうか?

実際に見たら『へー凄い!』で済んだかもしれない。

なのにさ、考えてもみなよ、集合体恐怖症の人がみたら気絶するレベルの鱗が、自分の身体にビッシリと着いてるんだぜ?

驚くな!って言われた方が無理だわ!


ただ幸い僕は集合体恐怖症とかは無いのでまだダイジョーブ!


取り敢えずここでじっとするより外に出た方がいいよな。


チャプンと水の音が聞こえる、僕は水を上から覗き混んだ。

今更だが、ここでっかい湖だったんだな。

まぁその前に自分の容姿だよな・・

手が余りにも小さ過ぎる。

そして覗き込んだ先の鏡のような水面に写し出されたのは・・・


『誰だよっ!コイツ』


肌は薄い肌色、髪の色は黄色っぽい髪の毛は腰ぐらいまである銀髪、目はパッチリとした大きな目に深い藍色。


完全に美少女である!


僕の前世の姿ってヒヨコっぽかったよね・・・あー!やめだやめだ!何かイラついてきた!!と言うよりここは何処だ?流石に天国じゃないよな?

いや、以外と有り得る。もしくは異世界転生?有り得ない、有り得ない!

でも・・・期待しちゃうじゃないか!


僕は恋愛系漫画には興味は無かったが、異世界転生系の漫画はよく見ていた。

だからどうしても気になって、(ここが異世界か)周りを歩くことにした。


どうして声が出ないかが不思議だけどね!

と言うよりこの鱗の足で歩けるか?

水の中だったら泳げるんだが・・・


うん、歩くんじゃなくて泳ごう。


水の中は光が差し込んでいて、眠くなるぐらい静かだった。


にしても、ここの湖は広いな。

死ぬ前ならこんな湖怖くて入れなかったな・・だが、人魚(?)になった今!

潜ることも泳ぐことも可能になったのだ!


『そんなに騒ぐ事じゃないでしょ』と、思ってるそこの君!

プールにも入れなくて、ずっと馬鹿にされてた僕の気持ち分かるかね?

結構大変だったんだぞ!水泳以外は勉強もスポーツも出来たのに水泳だけが出来ないってずっと言われ続けたんだよ!

それを克服した僕今は、、最強なのだー!


っと冗談はここまでにして。

さっき湖を全部しらべ終わった、早いよね人魚の体(?)は。


ちなみに今でっかい魚に追い掛けられています。

何だろうねこの魚。4メートルぐらいあるんじゃないの?見たことないや。

・・・現実逃避しても変わらないよね。

もしも異世界だったら魔法とか使えるんじゃないの?とは僕も思ったよ!だけどね、できないんだよ!当たり前だけど!!


誰か助けてーー!


«はい»


ん?誰かいるのか?いたら助けてくれ!


«右に回避してください»


誰かは知らないけど分かった。

えっと右・・・うわ!!


僕が右に避けた瞬間そのでっかい魚がさっき僕がいた所に噛み付いた。


あっぶなーっ ありがとうございますっ!


«・・・・»


あれ?返事が帰ってこない・・

おーい!返事して!


«すみません、よく分かりません»


『Siriかよ!』と突っ込みを入れてしまいそうになった。

うーんまだでっかい魚が追いかけてくるな。

どうしようか・・・ねぇさっきの人、ダメ元で聞くけど魔法とか使える?


«はい。マスターの主導権を借りたら殺せます»


物騒なこと言わないでください!

・・・マスター?え?僕の事?

てか魔法使えるんだ、異世界確定だな!

まぁあの魚もちょっとウザイからやっちゃって下さい!


«了。オートモードに切り替えます»


少し。いや、結構この子Siriに似てるな。

お!凄い!勝手に身体が動いてる!!

ん?何あのでっかい魚の前で止まってるんですか?

えぇぇぇー!でっかい魚を手で殴ったー!

そんなに殴んないであげて!

あの魚に同情しそう・・・は?もうあの魚、死んでるよっ!

やめてあげてーー!

え?何か手に黒い塊が集まってるな。

今度は何だ?魔法か?ちょっと楽しみ!


ドゴーーーーン


うん、凄い威力だ。

って、ちょっと待てー!!周りの魚も丸焼きじゃねーか!

あぁ。。

今日のお昼ご飯は魚だな・・・(現実逃避)


«・・・オートモードを解除します。宜しいでしょうか»


うん!もういいよ!解除して!!


«了»


ふぅ・・・・さっきのの魚がグロいことになってるなぁ。

にしても今更だけど君誰?そして僕は本当に人魚なの?


«マスターの種族は人魚です。能力は確定未来、回避予知。性別は女です。

私はマスターの前世で言うドッペルゲンガーと言うものです。»


うんうん。女なのは100歩譲って、ドッペルゲンガー?お前が?もっと詳しく!


«世界を渡り転生するのは有り得ない事なんです。ですがマスターは世界を渡り転生を果たしました。ただ、転生する際マスターの魂が欠けてしまい、そこから生まれたのが私です。»


ふむふむ・・・って。分かるかぁー!!!

いや、言ってる意味はわかるよ?でもさ、色々ハナシを吹っ飛ばし過ぎだよ!

魂が欠ける?!世界を渡り転生?!有り得ねーわ!


はぁ。。もういいよ、もう驚かない。

つまり君は僕のサポート役なのね?


«はい»


せめてさぁ、名前だけでも付けない?


«すみません、よく分かりません»


・・・勝手にしろって事ですか?えぇ勝手にしますよ。

えっと・・・サポート・・アシスト・・・シスト・・・うん!シストだな!

君の名前はシスト!!


«すみません、よく分かりません»


はいはい、勝手に呼びますよ。

宜しくなシスト!


«・・・了»


よし!シストがここら辺の魚全部魔法で丸焼きにしちゃたし、食べますか!

ん?どうやって食べるんだって?

そりゃあ地上に上がれないから水の中で食べるよ。


僕は1番焼けてる魚に手を伸ばしてかぶりついた。

意外といけるな・・美味しい。


今思ったんだけど、この世界人間いるよな?


«います»


へー、まぁこんな所に人間なんて来るハズないよな!



   …フラグがたった瞬間である…



ムシャムシャ

ムシャムシャ

ゴックン

ふぅお腹いっぱい!

何かお昼だからか眠い・・・・シスト、無いと思うけど誰か来たら教えて。


«了»


相変わらずSiriみたいだなと思いながら、僕は眠りに落ちるのだった。




とある人間、、


「確かこの辺よね、はぁギルドマスターも少し大きな魚の怪物が出たからってこんな遠くまで調査しに行けなんて・・・」


彼女はエルナ・エリン。冒険者では強い方だ。彼女は、いや、エルナはリファナと言うギルドマスターに、サツキ湖と言う広い湖に4メートルの巨大な怪物が出たから討伐しろと命令され、向かっている。


(にしても、何かおかしな気配がするのよね)


エルナは草を掻き分けサツキ湖に着いた。

そこで我が目を疑った。

だってもう1000年前に絶滅してるハズの人魚が魚を頬張っていたのだから・・。


エルナは気配を消しその人魚を観察した。

遠くからだと余り見えないが、黄色っぽい銀髪。

鱗が綺麗で、遠くからでも分かる神秘的なオーラ。


エルナは暫くの間見惚れていた。


すると人魚は急に水の中で寝始めた。


(これは・・・ギルドマスターに連絡した方が・・

でも、もう少しだけ・・・あと少しだけ見ていたい・・)


エルナは気配を消しながら人魚に近ずいた。

するとあと1メートルほどの距離まで近ずいた瞬間、

人魚は大きな目をパチリと開けた。


「え」


人魚とエルナは暫くの間見つめ合った。

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