Episode19 第二次ベステリア王国沖海戦勃発
メレダ港に近くなってくると帆船や木造船を見るようになったのだが、何かがおかしい。軍帆船が多いような気がする、艦艇式のために集結しているわけでは無い様だ。
今回の艦艇式に参加する事はベステリア王国側には秘密にしている、国民達には新造艦を護衛してくる他国の船が見学するという言い訳をするように頼んでいる。
こちらから王国海軍に送るのは海上専門の砲艦2隻を予定している。1隻は二十・七センチ連装砲塔2基4門と十三センチ3連装砲塔2基4門を搭載している船と十二・五センチ連装高角砲塔10基20門と対空機銃用の二十五ミリ3連装機関銃座18基24門を装備した船の2隻である。
艦名も何も付けていない新造状態でベステリア王国に引き渡した後で、王国側で艦名を付けるという事にしている。のちにこの2隻の艦名はクロスリア級海上砲艦と命名されて、1番艦をクロスリア2番艦をクロラージとしたらしい。
しかし、何故か胸騒ぎがする。このまま接岸したら、艦鑑式どころではない厄介ごとに巻き込まれそうな予感がするのだ。
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夕方にはベステリア王国沖合に到着したのだが、メレダ港の様子がおかしい。本来ならば狼煙が上がるだが今回は上がらない、何かが起きていそうな予感がする。
イリノイの左舷監視員から双眼鏡を受け取り、メレダ港内を覗くと見慣れない旗を掲げた帆船が大砲を撃っていた。
「何処の帆船だ、あの船は……?ん?港湾内が燃えている⁈」
双眼鏡には所々で煙を上げている港湾内の施設が見えたので、急いでブリッジに戻ると全艦に戦闘配置を言い渡した。
「火器管制用意、全艦。戦闘配置!」
「全艦、戦闘配置‼」
「主砲、準備良し。艦長、
艦内電話を受け取るとすぐに「砲撃許可はまだだが、敵船の所属が分かるか?」と聞くとNOと答えた。それもそうだ、今まで西之島はベステリア王国以外の国とは関わり合ったことが無いから分からないのだ。
「敵船、発砲してきた!」
水柱が2番主砲近くで上がると同時に後部艦橋に砲弾が当たった。
「後部艦橋、中破!負傷者はいません」
ジャップは近くに居た通信手に「向こうから攻撃してきたよな?」という確認をした。
「ハ、はい!」
「正当防衛を理由に、全艦。砲撃を許可する」
「イエッサー、全艦。砲撃開始!撃ち方、始め‼」
輪陣形だった艦隊が砲撃陣形に素早く切り替わると同時に、イリノイを始めとしてメレダ港内を艦砲射撃している帆船群に攻撃を始めた。
突然の開戦に意表を突かれた帆船群は慌てていたが、沖合に居る西之島艦隊を見つけるとわざわざ沖に出向いて来た。これにて、第二次ベステリア王国沖海戦の勃発である。相手は違うが、海戦であることは間違いない。
海上で海戦が起きる前に海中では攻撃型潜水艦の1番艦A―30と2番艦A―31が潜望鏡深度で艦首魚雷を2発ほど、イリノイを砲撃したと思われる帆船に向けて発射していた。
「魚雷命中、敵船。轟沈!」
「古森艦長、ジャップさんから海戦の電信です」
「そう、始まったのね。……はぁ、じゃあ。全潜水艦に伝えて、魚雷戦用意を」
「はい!」
潜水艦の司令長官は小森が担当しており、松下と傘木は水上艦艇の戦闘班長と総司令兼艦長を担当している。
「潜水艦隊が攻撃を始めました」
「そうか、松下班長。駆逐艦隊に電信しろ、雷撃戦用意」
「了解。……あ、俺だ。――そうだよ。駆逐艦隊、雷撃戦用意」
それと同時に港湾内から赤色の狼煙が見えた事で、今戦闘している帆船群を敵と判断した。
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