第48話 調教(わからせ)
や、やっぱり好きでもない男の子とするなんて嫌です!
……本当に乱暴されるなら、花瓶でもぶつけて……いや、
私はいざというときに備えて覚悟を固め、拳を固く握りしめて
彼は、見たことのある板に石を並べて……。
「さぁ、勝負だ!
「……はい」
こ、この、私の、覚悟は、その一体っ?!あと
私は静かな怒りともに
この
だからって年頃の女の子と一緒に座るって、ちょっと近すぎますけどね?!もうすこし気遣いとか……
皇子様が気遣いするわけないか。
……ふふふ、結構ムカついてきましたね。
とりあえず、なんか調子に乗ってるので分からせることにします。
「誰に聞いてもこの遊戯は知らなかったんだけどさ、持ち主だったキミならそこそこ強いんでしょ?」
「ふふふ、皇子殿下には
パチッ、くるっ。
パチッ、くるっ、くるっ……
「あはは、もう真っ白だよ?本気出してくれないとー」
白番の弁皇子が得意げにどんどん盤面を真っ白くしていきます。
私は務めて冷静に「本気です」とだけ言いました。
「またまた、ほらほら。もう黒が全滅するよ?」
「……はい」
パチッ、くるっ、くるっ、くるっ、くるっ……
「あれ?ここしか置けない……」
「ですね」
パチッ、くるっ、くるっ、くるっ、くるっ……
「まって置ける場所が?」
「では一回休みですね」
パチッ、くるっ、くるっ、くるっ、くるっ……
「ちょっと待って?!端をそんなに取られたら?!」
パチッ、くるっ、くるっ、くるっ、くるっ、くるっ、くるっ、くるっ……
端に四隅を全部、
当たり前ですが、
中盤からは
「……」
「皇子があまりにも強すぎたので、本気を出しました。申し訳ありません。ではこれで」
私は深々とお辞儀をして、逃げ出そうとします。
ですが、弁皇子は崩れかけた姿勢を何とか元に戻すと、再度私に向き合って言いました。
「も、もう一回相手してよ!!!」
「はい、かしこまりました」
ふふふ、まだ分からせ足りませんか?
……
……
「な、なんで途中まで圧倒的に有利なのに勝てないの……?!」
弁皇子ががっくりと
ふふふ、完全勝利です。これでもう私に構ってこないでしょうね。
がっくりして動かなくなった弁皇子に深々とお辞儀をして、私は堂々と退出しました。
― ― ― ― ―
皇子の部屋から出てきた私は、
きつく締められた腰布のあたりを調べられます。
「……ふむ、お手付きはなかったようね。何かあったらきちんと報告してくださいね?」
「あったら困ります……って報告するんですか?」
趙忠さんが意外そうに言いました。
「当たり前ですよ?したかどうか。何回したか、きちんと全部記録するんですもの」
えええええ……いやいや、そんな、なんですかその
それを聞いて、趙忠さんがキリっと真面目な顔をして仰います。
「
「はぁ……ま、まぁ、もう呼ばれないと思いますので」
言ってる意味は分かりますが、夢も愛情も感じられない話ですね……しかもそれがお仕事。お疲れ様です。
まぁ、皇子様はあれだけ分からせたんですから、もう顔も見たくないはずです。
「あら、そうかしら」
ふくよかなおじい様に似つかわしくないかわいらしい台詞を尻目に、私はさっさと自分の席に戻っていきました。
― ― ― ― ―
「
「
なぜかさっそく
「そんなのありえないです!ねー、白ちゃんはどう思う?」
「お姉さまはキレイだし、未来の皇后になれると思うのじゃ」
私の隣に座ってるのは、御年9歳の私の
「だめーー、皇后にはならないー、私は白ちゃんと結婚するのー」
「女同士は結婚できないのじゃ?!」
くっ……誰ですか!白ちゃんにそんな余計なことを教えたのは!?
「こ、公明くんはどう思う?!」
一族の
「えっと……あー、その……巫女様なら真っ直ぐになりたいものになれると思います!」
「そうですよね!」
「おい、青。若者がメチャクチャ困ってんじゃねーか」
公明くんの回答に気を良くしていると董旻叔父様がちゃかしてきました。
何か言い返そうと思ったら、叔父様が何かの束をもっています。
「ところで、叔父様。そこの紙束は?珍しいですね、
「お?ああ、これか。
「あ、読みたいです」
「
と書いてありました。
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