第17話 (閑話)董卓日記その1
※董卓視点
某年某日
青はあの年で読み書きができるとは、可愛いだけでなく実に賢い。
男の子だったら跡継ぎとして名を
いや、女子でも
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青が優秀過ぎて親族や部下が動揺している。だったら巫女に見せてこいと送り出した。妄言を言うなら斬ろうと思っていたが、河伯の巫女だとのお告げとか。牛輔も李傕も豹変しすぎだ。狐憑きだと騒いでいたのはお前たちだろ。郭汜もうるさい。
青は信心や
変な噂が出回らぬよう注意していた所、家僕が壺を割った。青が家僕を惨殺するなと庇った。
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青が父上は皆に尊敬されていて素晴らしいと言う。李傕、郭汜に
ああ、張将軍(張奐)と戦場を駆けた頃が懐かしい。ぜひ復帰してほしい。全部宦官が悪い。
李傕、郭汜が良いお告げを得たと喜んでいたが、出世するなら文書仕事もできねばならん。李傕に試しに文官仕事をさせたら意外とやるので、郭汜にもやらせることにした。
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青が男装して李・郭を手伝っていた。
先だって男の子ならよかったと口にしたのを覚えていたのだろうか。そういう意味ではない。
李・郭の功が半分以上は青のものだった。あいつらはしばらく文官だ。苦労しろ。
二人には青の護衛を強化するように指示。
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青は男装を隠しているつもりだったようだ。
分からないわけがないだろう。
青が文官仕事をしていると、息子が生きてればこうだっただろうと思う。夜中、僅かに泣く。
青に仕事を振ると期待以上の働きをする。というか働きすぎで属吏が疲弊している。
賢いし、やる気はあるが、思いが強く、迂闊なところがある。やはり子供なのでいろいろ教えねばな。
青が均輸の利益を際限なく増やそうとするので止める。利は中央に行き、宦官が使う。それなら河東に利をとどめるべき。
中央では宦官に近い人間ばかり出世する。売官も横行している。天網恢恢疎にして漏らさず。悪は滅びるだろう。
青が礼物をやけに嫌がっていた。
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属吏をもてなすための宴会で貯えが尽きる。
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青が
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県令が青と揉めた。勅を騙り、匈奴を害していたようだ。関東の人間は
李傕が言うには、青は匈奴と漢人が同じ種だと言ったらしい。青は優しい。だが風習や生活の違いは大きい。また力を示さねばお互いに不幸になる。
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青が城壁の落書を見て卒倒す。
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青がお告げするに、太平道は反乱すると。
妖術詐術の集団は珍しくもないが、規模や動きは怪しい。
牛輔も悪い教団ではないという。
青がお告げにこだわる。策を李傕に授けた。
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青は自分の美貌に自信があるようだ。全く正しい。
ただ、美しいと言うより可愛いである。
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青は自分の働きを正確に理解していない。
財産を貯めても自分一人しか頼れぬ。徳を貯めれば周囲を頼れる。
徳の使い方を教えるべきか。
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名士をもてなすための宴会で銭が不足。隴西から銭を送らせる。
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青のお告げが当たる。太平道は討伐できた。
宦官が上奏文に介入した。塵芥め!
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皇甫太守(皇甫嵩)の上奏で、党錮の禁が解除された!
きっと宦官もすぐ退治されるだろう!
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青が巫女を続けているが元気がない。人と触れ合い、善徳を積むのはいずれ役に立とう。
青に先のお告げを問うが困って答えず。
再度上奏し、宦官が遮る。滅べ。
旻が来たので洛陽に行くことにした。きっと宦官を懲罰できよう。
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右賢王(於夫羅)の軍と合流した。
青は匈奴の間で名声が高いようだ。
優しく賢く美しく、匈奴を人扱いすると。漢の文化をぜひ青から学びたいと。
だから嫁に欲しいと。
匈奴が青を欲しがるのはわかるが、青に利がない。
風俗が違いすぎて苦しむだろう。
断った。
※曹大家 : 後漢の歴史家、班昭のこと。漢書を兄の班固から引き継ぎ完成させた。
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