ネット上では無限に転生できるのです
もゆる:いやー私友達ができましてね! 困っちゃいますね可愛いっていうのは!
『どう考えてもイマジナリーフレンド』
『ついに幻が見えてきたか』
『幻覚を見る過酷な環境でもつぶやくつぶやきマンの鑑』
『失礼だろ! もゆるちゃんの学校の校長が仕入れたペッ○ーくんに謝れよ!』
『↑サービス終了したら友達だった記憶も無くなるのか……」
『↑SFがそれで一話書けそう』
失礼な連中ですね……あんな素敵な陽キャをイマジナリーフレンド扱いとは……しかしいいのです! 私はちゃんと真実を知っているのですから今更ネットの有象無象に嘘扱いされるくらいどうということはないのです!
もゆる:友達嫉妬民見苦しいぞ
『なんでこんな奴に友達が出来ると思ってるんだ……』
『妄想でなければ友人は聖人になれそう』
ふん! 好きなように書けばいいのです! 私はこれから陽キャになってのし上がっていくんです、嫉妬くらいどうというい事はありません。
おっと、スマホに集中していてPCの方を見逃していました。
見ているのはシスイのつぶやきアカウントです。彼女は監視をしておかないとガバガバプライバシー感覚で私の情報を平気で漏らしかねませんからね。友人とは言え有限の時間を割いて気を遣うのは納得いっていませんが私の情報がダダ漏れになるよりはずっとマシです。いえ、彼女に友人ではないといえばそれで解決するのでしょう。しかし私には久しぶりにできた友人をパージするような勇気はありません。
なになに……『友達がネットに詳しいんですよ!』セーフですね、この程度の情報なら問題無いでしょう。そもそもネットに詳しいという人が実際に詳しいのか分かる人はあまりいません、自称ネットに詳しい人かもしれない可能性を考慮すれば特定にはまるで役に立たない情報です。
『シスイちゃん、ネットに詳しいのって大抵おっさんやぞ』
『ネットに詳しいにいいイメージないなあ……』
やはり私の特定にはとても役に立ちそうにない情報しか出ていませんね、問題無いです続けて構わないでしょう。
『シスイ、新しい友達って誰?』
おっと、リアル友人ですかね。スマホスマホっと……
『燐火ちゃん、
メッセージは即返ってきました、どうやらスマホに通知がいっているようですね。PCだとメールでタイムラグが出ますからスマホというのは便利なものです。
『分かった! 絶対言わないよ!』
『ちょっと恥ずかしがっててね、言えないんだ、ごめんね』
どうやら無難に情報提供を断ってくれたようです。DMならまだしも誰にでも見ることができるメンションで個人情報を平然と要求してくる友人と、それを何もおかしいと思っていない彼女には多少恐怖を覚えますが、こちらの意見は飲んでくれる物わかりのいい人です。
『えー! 陰キャっぽい!』
余計なお世話です! しかしこのアカウントでそれを言うわけにはいかないのでぐっとこらえます。普通公開の場で人の悪口を言わないと思うのですが、そもそも陰キャというのは悪口ではないのでしょうか? 怖いことこの上ない人間関係です。
『イエーイ! もゆる見てるー! これが本物の友達なんだよなあ!』
つまらないメンションが今度は私のアカウントに飛んできました。何やらパリピっぽい男女が数人集まってわいわいバーベキューをしている様子です。私は一言返信しておきました。
もゆる:なんかその後マルチか宗教勧誘が始まりそうですね?
『草』
『もゆるの友人感歪みすぎ問題』
『真っ先にその感想が出てくる……実体験……あっ……』
『↑やめたれ』
『実体験だろうなあ』
『もゆるに宗教やマルチに勧誘できる人脈があるわけないだろ! いい加減にしろ!』
『↑せやな』
『人間関係の貧弱さで怪しさを否定する男』
好きなように言えばいいじゃないですか。私には本当の友人がいるんですからね! 微妙に男扱いされているのがムカつきますが、私と私のコピーアカウントの公式設定で男になっているのでそれを否定はしませんがね。適当にごまかせる要素は多い方がいいのです。
いけませんね……ネット上の人間関係にこだわって友達の方を見ていませんでした。
シスイ:ほんとにね可愛いんだよ
マズい流れですね、彼女ならこのまま流れるように個人情報を出しかねません。
『燐火ちゃん! お願いだから私のことは話題にしないで!』
私の必死のメッセージは私の情報を書いているところへ届いたらしく『ごめんね』と謝罪が来ました。せーふ……せーふです。
『これもゆるの本垢?』
『自分を炎上芸人と勘違いしている異常者の垢』
『アイツを名乗っている時点で十分に異常者の素質はある、本物でも偽物でも頭おかしいからどっちでもいい』
『好き好んで名乗る名前じゃないんだよなあ……』
『炎上芸人なら広告貼りそうなんだけどそれをしないあたりもゆるは怖い』
『偽物は広告貼ってるから割と分かるんだよなあ……』
『もゆる垢はすぐに転生させるのが多いから広告貼ってないのも多いぞ』
『広告主にすら嫌われる男』
『金にもならないのに観客を楽しませるエンターテイナーなんだよなぁ……』
そろそろ……ですかね……
私はPCに向き直ってもゆるでログインしているアカウントの設定ページを開きます。流れるように『アカウントの削除』を選んで綺麗さっぱり今日の不快な発言達を切り捨てます。幸いこのつぶやいたーでは複垢は禁止されていないので削除して即新しいメールアドレスをいつもサーバに発行させます。メールアドレスのみで登録できるのでアカウントの転生が容易なところがいい点ですね。
moyuru12334567890123@○○○.comというメールアドレスを発行します、適当に名前の後に付けるマジックナンバーはインフレの一途をたどった結果結構な長さになっていました。
これでネット上のアカウント転生は何回目になるでしょうか? 数えることすら忘れてしまいました。日に二三回転生させることもざらなので一日持った今日のアカウントは長寿な方と言っていいでしょう。最短記録は登録後初のつぶやきで炎上した三分です。
私のアカウントは日をまたいで存在することは滅多にありません。大抵その日の出来事その日のうちにが基本なので寝る前にアカウントを削除するのは普通になっていました。
おっといけない、ちゃんとIPアドレスも変更しておかないと。
スマホの機内モードを使ってルータの方は電源を切って再起動します。エンタープライズ向けのそれなりのルータでは結構な起動時間がかかるので寝る前に再起動しておくのが普通になっています、日中にやると切断時間が長いんですよね……
私は少しの優越感を覚えながら燐火ちゃんにメッセージを送って寝ることにしました。
『お休み、また学校で』
『お休み! また明日ね!』
私は恒常枠の友人が手に入ったことに感謝をしながらベッドに入りました。
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