第172話
「グッハ!!」
国王は赤黒い血を吹き出してもがくが…もがけばもがくほど奥へと檻が突き刺さっていく…
下まで血が流れるとエイト達を使う為に描いておいた魔法陣が国王の血に反応した。
「みんな!ここから離れろ!」
カズキは嫌な予感に魔法陣から離れるように大声をあげた!
皆が魔法陣から距離を取るとその様子を固唾を呑んで見守っている。
魔法陣はまるで生きているかの様に国王の血を吸い込んでいく。
「でもあれ…穢れなき少女じゃなきゃ駄目だって…あの人で大丈夫なの?」
エイトはナナミに聞くと
「多分…駄目ね、何かが起きてるみたい…」
ナナミはエイトを自分の後ろに隠した、クイーンも敵兵の降伏に人型に戻ってエイトの傍に駆けつける。
「クイーン!大丈夫!?」
エイトは怪我はないかとクイーンを見ると
「平気。それよりもあれ…気持ち悪い」
クイーンが国王を見て顔を顰めた。
「お前らァ~ワシをタスケロ!!」
国王はどう考えても致死量の出血をしてるのにも関わらず血を吐きながら近くの兵士に手を伸ばした。
その顔はおぞましく兵士達は後ずさりする。
「何を逃げてオル!コロスぞ!」
目を血走らせて睨みつけると兵士達は顔を逸らした。
「ありゃ穢れまくってるな…不味そうだ」
いつの間にかラネットも傍に来ており国王を見て唾を吐く。
「匂いからするに…何人もの血肉を自分の体に入れてるな」
「そんな事出来るの!?」
「ありゃもう人ではない」
魔法陣は暴れて抵抗する国王の血を残らずに吸い取っていった…国王は体の水分を取られてみるみる干からびていく。
そしてようやく動かなくなるとそのまま地面に軽い音と共に落ちた…
見れば魔法陣もただの床に戻っている。
兵士の一人が剣先で国王を突いて見るが動く様子はない、ようやく絶命したようだ。
「おわっ…た?」
「い、いやったー!国王が死んだぞ!」
その様子に仲間達が叫ぶと兵士達がドサッと座り込む…
「これで…良かったんだよな」
「ああ、見ただろ…ありゃ人間じゃねぇよ。俺達は悪魔に騙されてたんだ」
兵士達は国王の本当の姿にすっかり抵抗する気も失せていた。
ラルク達が先導して兵士達を連れて行くと部屋にはカズキとナナミ、エイトとクイーンとラネットが残った。
エイトは綺麗になった魔法陣を見つめて考える…
あれがじいちゃん達を元の本来居るべき場所に帰してあげられる。
そしてそれができるのは自分だけなんだと思っていた。
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