第163話
「な、なにこれ…」
エイトは自分の体をペタペタと触って確認する。
「ない!ない!僕のアレがない!」
「エイト、落ち着いて!」
「どうしようクイーン!僕女の子になっちゃってる!」
「大丈夫!エイトは女の子でもかわいいよ」
クイーンが問題ないと笑うけどそういうことじゃない!
「フールさん!どういうことなの!?」
エイトはフールを睨みつけた。
「どういうこともエイトには女になってもらったんだよ、元男とは思えないほど可愛いな」
ニコリと笑ってエイトを見下ろす。
その顔は初めて会った時の様に優しい笑顔に見えた。
「嘘…だよね?フールさん裏切ってないよね?」
「ここまでされても俺を信じるのか?さすがカズキの子供だな!」
がはは!と可笑しそうに笑っていると兵士達がその声に集まってきた。
「おい、フール!そろそろ時間だぞ。さっさとその生贄持ってこいよ」
「ああわかった」
フールは敵の兵士達と親しげに話している。
「ずっと…みんなを騙してたの」
エイトはフールを見つめると
「まぁそうなるかな?だってずっとあんな地下暮らしなんて嫌だろ?お前らを渡せば貴族にしてやって言われてな…しかも可愛い奥さん付きなんだぜ!これを断る男なんていないだろ?」
「この屑が!」
クイーンはもういいとドラゴンに戻りエイトを連れていこうとするが…
「あれ?なんで…戻れない」
クイーンは力を込めるが体には何も変化が起きなかった。
「やっぱりお前が暴れたドラゴンだったのか、あのラネットって奴も怪しかったがお前も十分子供らしくねぇんだよ。こっちだって色々と研究しててなその首輪がドラゴンの部分を押さえてくれてるんだ」
エイトとクイーンは首につけられた首輪を見つめる。
「こんなもの!」
クイーンが首輪を外そうと引っ張るが
「グッ!」
鍵が付いていてクイーンの力では壊せない。
「ぼ、僕が!」
エイトも手伝うが子供の力ではビクともしなかった。
「さぁ諦めな」
エイトとクイーンはフールと兵士達に呆気なく捕まってしまった。
「くそ!くそ!クソォ!お前ら後で全員食ってやる!」
クイーンは体をばたつかせて抵抗すると
「うるさいぞ!黙ってろ!」
バシッ!と頬を叩かれた。
「クイーン!やめろ!彼女を傷つけるな!」
エイトも暴れると同じ様に叩かれる。
「うるせえガキ共だ!少しは静かにしてろ!」
エイト達はだだっ広い部屋に連れていかれると中央に置かれた檻に投げ込まれた。
「いてて…」
エイトはクイーンの上に覆い被さると
「クイーン、大丈夫?」
「私は大丈夫。エイトは?」
心配そうに見上げていた。
「僕も平気…体以外は…なんで僕女の子になっちゃったんだろ…」
エイトの不安そうな顔にクイーンはエイトに抱きついた。
「エイトがどんな姿でも私は大丈夫、エイトはエイトだもん」
「クイーン…ありがとう」
エイトはクイーンの優しさに鼻がツーンと痛くなった。
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