第123話

ナナミの胸にぽふっと抱きつくと、ナナミがギュッとエイトを抱きしめる。


頭を撫でながら囁くと


「恥ずかしくてつい大きな声を出しちゃった」


「うん、僕もごめんなさい。内緒だったんだね。じいちゃんとナナミはいつも仲良いから普通になってた」


エイトが伺うよに謝ると


「エイトは謝る事なんて無いのよ。何も嘘なんてついてないんだから…でもなんでも話しちゃ駄目よ。人には内緒にして欲しいこともあるからね」


ナナミが優しく教えると


「わかった」


エイトがコクッと頷く。


「エイトのその素直な心はとっても素敵よ、その気持ちのまま大きくなってね」


エイトの頬にチュッとキスをするとエイトは嬉しそうに頷いた。


「ナナミはじゃあどうやって走るの?やっぱり自分で?」


エイトが気になった事を聞くと


「そうね…もうみんなに見られちゃったしカズキに運んでもらおうかな!みんなの足でまといになっちゃうものね」


ナナミが恥ずかしそうに笑うと


「足でまといになんてならないよ!それなら僕とゆっくり歩く?」


エイトが首を傾げて聞いてくると


「ありがとう~でも大丈夫よエイトが遅くなったらみんな心配しちゃうからね」


ナナミは可愛いエイトを強く抱きしめた。


「じゃあナナミはここで、なんならエイトも乗るか?」


カズキがナナミを抱き上げエイトの方を見て手を差し出すと


「えっ…」


モジモジと恥ずかしがる。


「私もエイトがいてくれると嬉しいな!」


ナナミが笑っておいでと言うと


「じゃあちょっとだけ…じいちゃんが疲れたら降りるね!」


「エイトとナナミが乗ったくらいじゃ重くなんて無いよ」


カズキが余裕で笑うと


「あの人…あれで走る気かしら」


ダレンが驚いて二人を抱えたカズキを見つめる。


「カズキなら余裕だろ、昔もっと重い男達を抱えて走ってた事があったぞ」


「なら私も乗せてくれないかしら」


ダレンがつぶやくと…


「お前は嫌だ」


カズキが無理だと振り返りダレンに首をふる。


「何よ!」


ダレンが面白く無さそうにぷりぷりとしていると


「もういいか?そろそろ行くぞ」


ラルクがなかなか進まない一行に声をかけた。

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