第121話

カズキ達は家にあった必要な物をカバンに詰め込むとラルク達と町へと向かう準備を整える。


「しかし急ね、エイトちゃん達帰ってきたばっかりなのに」


ダレンもナナミの手伝いをしながらブツブツ文句を言っていると


「今回の村は結構派手に壊滅させちまったからな、多分国にも報告が言ってるだろ。向こうがなにか仕掛ける前にこちらも準備を整えておきたいからな」


ラルクが説明すると


「その国王ってのももう結構なお年よね?」


「あの事件から20年だ…当時あの国王は35歳で今は55だな」


「そうなの…見たことないけど町に貼られてる肖像画を見た所若く見えたわ、まぁ絵だからなんとでも描けるけどね」


「いや、あのままの姿だ」


「そうなの!?カズキやナナミばりに若々しいわね!」


ラルクは顔を顰めると


「カズキ達はありゃ反則な程見た目が幼いんだよ…始めて会った時だって子供だと思ったからな、でもあの国王はなにかしてる。カズキ達が姿を消してから見た目がちっとも変わってないんだ」


「へぇ…ちょっと興味あるわ」


ダレンが笑うと


「お前が思ってる様な方法じゃ決してないぞ…」


ラルクが胸糞悪そうに呟いた。


「あの国王見た目が変わってないのね…って事は今の私達と同じ歳ぐらいになったって事かしら…」


「えっ!ナナミ55歳なの!?」


ダレンが驚くと


「やめてよ!35歳よ!あっ…言っちゃった…」


思わず口を抑えると


「ナナミは35歳ね…やっぱり若いわ」


しげしげとナナミを見つめる。


「まぁ…童顔に見られがちなのは確かね。でも悔しい事にカズキの方が若く見られるのよね…」


悔しいと言いながらも嬉しそうに頬を赤らめるナナミに


「いやだわ、惚気かしら…」


ダレンは無視して荷物整理に続けた。




エイトも自分の荷物をジャックとまとめていると


「ジャック今度はどんな町かなぁ!?楽しみだね」


エイトがウキウキしながら荷物を次々にカバンに放り込む。


「なんだエイト、この前とは違って今回は楽しそうだな」


ジャックがエイトの服を咥えながら近づいてくると


「そうかな?」


ジャックから服を受け取る。


「そうかわかった。カズキ達も一緒だからだな!エイトは甘えん坊だからなぁ」


ジャックが笑うと


「ち、違うよ!」


慌てた様子で誤魔化すように受け取った荷物を放り込んだ。


粗方荷物をまとめると


「次に帰ってくる時は平和になった国を見届けてからかな」


ガランとした今まで住んでいた快適な家を見つめると


「じゃあ行くか!」


カズキがみんなに笑いかけた。

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