第117話

これは…ラルクはカズキの反応にニヤッと笑うと


「エイトが生きてくのにこんな世界でいいのか?エイトの為にもこの世界を変えてみないか?」


「エイトの為…」


カズキはじっとエイトを見つめると


「まぁいきなりこんなに事を言ってもカズキも困るよな、悪い…つい先走っちまった」


ラルクがすまんと謝ると


「でも俺たちは本当にあのクソみたいな国王をぶっ殺してこの国を変えようと思ってる。その為に闇ギルドを立ち上げたんだ…今色んな町や村に協力者を作ってる」


「お前そんなことをしていたのか?なんで教えてくれなかったんだよ」


「そりゃカズキ達はもう巻き込みたくなかったからな…出来れば俺達でどうにかしてお前達を迎えてやりたかったが…今のカズキを見てたら話してもいいかと思ってな」


ラルクが笑うと


「だが…国王をぶっ殺してどうするんだ?あんなんでも上が居なくなると取り締まっていたものがなくなって無法地帯になりやりたい放題の奴らが出てくるぞ」


「そうならない為にも各町に協力者を作っているんだ、国が無くなった時にそこを一時的にでも仕切ってもらうためにも」


「ある程度は考えているんだな…それでお前依頼だと色んなところに行っていたのか…」


ラルクが笑って頷くと


「えらい時間かかったけどな…大体の町とは連携が取れてるぞ」


「そこまで進んでいるならもう…」


ラルクは悔しそうに首を振ると


「どうしても足りないものがまだあるんだ」


「なんだ?金か?」


「いや…軍事力だ…あっちは何処からか大量の魔石を確保して何か企んでいる…最近の魔物の数が増えてるのも関係しいると睨んでいるんだが…」


「力か…俺一人増えたところで…俺は国から逃げた男だぞ?」


「本気で言ってるのか?あれは国の全ての力を使ったのにお前に逃げられた…どう見てもあれは国の負けだったよ」


ラルクが愉快そうに笑う…


「あの時の国王の顔…絶対にカズキを捕まえる気でいたのに物の見事に逃げられて、クックッ…ざまぁなかったね!」


「そうか…」


カズキが苦笑すると


「で?どうだ…無理強いはしたくない。ゆっくりと考えて見てくれ」


「わかった…」


カズキはエイトの髪を撫でながら頷いた…その時エイトが起きているとも思わずに…


カズキはエイトをラルクに預けると寝床の準備をする為に一度家へと向かった。


するとエイトがガバッと起き出した!


「師匠!そのギルド僕も入れる!?」


突然起き出したエイトにラルクは驚いていると


「なんだ、話を聞いてたのか?」


「あんな大きな声で頭の上で喋ってるんだもん、聞こえるよ」


エイトが頬を膨らませると


「そうか、起こしてすまなかったな。じゃあベッドに戻って寝るんだ」


ラルクが立ち上がるとエイトを抱き上げる。


「師匠!何誤魔化そうとしてるの!僕だってじいちゃん達と戦える!頑張れるから」


エイトは必死にラルクにしがみついた。

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