第115話
「エイトー!」
ジャックと寄り添って座っているとカズキの心配そうに呼ぶ声が聞こえて来た。
「じ、じいちゃんだ…」
いつもならあの声に呼ばれると喜んで駆け寄っていたが…今はなんだか行きたくない。
そんなエイトの様子にジャックは
「ちゃんとカズキと話せ、このままずっと喋らない訳にもいかないだろ」
「でも…あんな嫌な態度取っちゃった。呆れられたらどうしよう」
ジャックはため息をつくとちょっと待ってろとエイトのそばを離れた。
ジャックはエイトのそばまで来て様子を伺っていたカズキのところに行くと…
「なんでエイトのところに行かない?」
カズキを見つめる。
「いや…あんなに顔を背けられるのは初めてで…エイトに嫌われたんじゃないかと、このまま強引に行けばさらに嫌われると思うと…」
いつも無敵で堂々としているカズキが見る影もない…ジャックは似た者親子に苦笑すると
「早くエイトのところに行ってやってくれよ…泣いてるぞ」
「えっ!」
カズキはエイトに向かって駆け出した!
「エイト!」
小さく丸まっているエイトの背中を見つけるとガバッと抱き上げる!
「エイト!大丈夫か!?」
顔を覗き込むと…驚き目をまん丸にしたエイトが自分を見つめていた…
「なんだ!泣いてないじゃないか…心配させやがって…」
エイトの顔をみてホッとするとギュッと胸に抱きしめた。
エイトは突然の事に驚き反応するのを忘れているとカズキがギュッと抱きしめて硬い胸に自分を押し付ける。
ドキドキといつもより早い鼓動にエイトはカズキを見上げるとちょうど目が合った…
カズキは済まなそうにエイトをみると
「エイト、いきなりあんな事言って悪かったな…俺はエイトがここの暮らしでは窮屈なんじゃないかと思ってな。それで外の世界に行ってもいいんだと言いたかったんだ…本音を言えばずっとエイトとナナミと暮らしたい。離れたくなんてないよ」
カズキの本当の気持ちを聞いてエイトはポロッと涙を流す。
「エ、エイト!」
カズキはエイトの涙を服で拭うと
「どうした?やっぱり許せんか?」
エイトは首を振ると
「違う…じいちゃんが僕の事を邪魔に思ったのかと思って…違うってわかってほっとした…」
エイトはカズキの服をギュッと掴むと
「僕…何処で暮らしても大丈夫…じいちゃん達のそばなら、僕のだってじいちゃん達のそばにずっといたい!じいちゃん達が居ない町や村になんて暮らしたくない」
「いいのか?」
エイトはこくこくと頷くとカズキにギュッと抱きつく。
「そうか…」
カズキは嬉しそうにエイトを抱きしめた。
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