第93話

部屋へと来たギルマスは部屋に入るなりラルクを睨みつけると…


「お前は誰だ…」


警戒して声をかける。


「誰でも無い、ただこの近くの森の様子がおかしいから調査をしてこいと依頼を受けて来ただけだ」


「そんな依頼は聞いてないが?」


ギルマスが睨むと


「俺はちょっと特殊なギルドに入ってるんでね」


ラルクがニヤッと笑うと服の裏に付いているある記章を見せる。


「そ、それは闇ギルド…」


「てことなんで良かったら協力してくれねぇか?」


ギルマスは驚いてラルクを見つめると…


「わかった…」


納得して頷いた。


「それで?あんたはここの村長の事をどれだけ知ってるんだ」


「ここのクソ村長はこの国の大臣から支援を受けているようだ…見返りに何を渡しているのかはわかっていない…我々も中々手が出せないからな」


ギルマスが悔しそうに拳を握る。


「そりゃ正規のギルドはこの国の監視下だからな…」


「こんな田舎の方のギルドならそれほど圧力はかからんがな。とりあえず歯向かわなければ手は出してこない」


「なるほど、それでここは村長とギルドは敵対してなかったんだな」


ギルマスは頷く。


「村長も表立って何かをしているわけじゃなかったからな」


「それはどうかな」


ラルクがシワを寄せると


「どういう事だ?」


ギルマスが聞くと


「最近ここら辺は魔物か強くなってないか?」


「何故それを!何か知っているのか?」


「この先にある森の奥で魔力溜りを見つけた…そこで魔物が生み出されていた」


「魔力溜り…そんなものが…」


「村長は国から定期的に何かを送られていたようだ、その中に魔石があったらしい。それを多分瘴気がこいところにでも大量に置いて作ったんだろう」


「なんのために…」


「わからんが今この国ではそんな場所がいくつも出来ている…あの国王が何か企んでるに違いない…」


「何か出来ることはあるか?」


ギルマスがラルクを見つめると


「今は大丈夫だ、時が来た時は頼む」


ラルクが言うとギルマスは力強く頷いた。


「その魔力溜りはこちらで壊しておくから心配するな」


「何から何まですまんな…では村長はさすがに俺の手で…」


ギルマスが覚悟を決める。


「そっちも大丈夫だ、多分村長はもう帰ってこないだろう」


ラルクが笑うと…


「何かしたのか?」


「いや、俺は何もしてないよ。それより次の村長が決まったらよく見ておいてくれ」


「わかった、そのくらいしか出来なくてすまんな」


ラルクは首をふる。


「いや、国に染まっていないだけでも助かるよ」


ラルクとギルマスは手を握りあった。

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