第82話

「エイト!エイト何処だー!」


ジャックは人目もはばからず怒鳴り声を上げながらエイトを探す!


先程から呼びかけているが一向に返事がこない…


「さっきは返事があったのに…もしかして…」


嫌な予感に屋敷の隅々まで探して駆け回る!


すると屋敷に残っていた男達がまた湧き出した。


「いたぞ!魔物は殺せ!」


男達は武器を手にジャックに襲いかかった!


「邪魔だ!」


ジャックは男達に爪を立てて斬り裂いていく。


「こいつ…素早いぞ!脚を狙え!」


男達は俊敏に右往左往に動くジャックの脚を狙って一斉に攻撃を仕掛けた!


ジャックは攻撃に怯むことなく男達を沈めていく。


階段を見つけて下へと駆け下りていると…


「おい!ダレンさんの部屋に子供が寝てるぞ!」


「子供…エイト!」


声が聞こえた方へと急ぐと男達に抱えられぐったりとしているエイトが居た!


「エイト!…お前ら~」


ジャックは唸り声をあげると男達に飛びかかった!




ペロペロ…


エイトは湿ったくすぐったい物が耳を舐めるのに気がついて目を開いた…


「う~ジャック…くすぐったいよ~」


エイトがモゾモゾと動くと…


「エイト!大丈夫か!」


ジャックの声が耳元で響くと


「えっ…ジャック?あれ?僕なんで…」


ダレンさんと話してて…その後の記憶がない


「お前ここで寝てたみたいだ、男達に運ばれようとされてて…」


ジャックの言葉に周りを見るとジャックに倒された男達が床で伸びている。


「ジャック!体が傷だらけだよ!」


ジャックを見ると脚からは血が出て体も所々毛が無くなっている所があった…


「大丈夫…」


エイトが心配そうにジャックの身体を触ると


「このくらい大丈夫だ、お前も無事でよかった…」


「ジャック…ごめんね心配させて、迎えに来てくれてありがとう」


ジャックに抱きつくと


「お、お前に何かあったら俺がカズキに怒られるからな…」


エイトは素直じゃないジャックに笑いかけると


「ラルクも心配してるから急いで戻ろう、走れるか?」


ジャックが聞くと


「うん!大丈夫」


エイトが自分の体を確認する、顔などに痣はあるが手足は問題なく動く。


「あんな奴と一緒にいてよく無事だったな」


ジャックがほっとすると


「あんなやつって?」


エイトが誰の事だと聞きながら立ち上がりジャックを抱き上げる。


「な、なんだ?何してる」


ジャックがエイトの行動に驚いていると


「そんな怪我してるのに歩かせられないよ」


エイトはジャックをしっかりと抱きしめると


「よし、師匠のところに向かおう!どっち?」



「上だが、大丈夫だこのくらいの怪我下ろせ」


ジャックが暴れると


「僕が怪我してても同じ事言える?」


「グッ…」


ジャックが黙ると


「ラルクさんが薬草持ってるといいけど…」


エイトはジャックを抱いたまま走り出した。

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