元勇者のおじいちゃんに育てられた子供は普通じゃありません

第81話

ラルクがダレンを睨みつける。

「こいつか？エイトを連れ去ったやつは？」

ジャックに聞くと

「そうだ！こいつがエイトを気絶させていた…」

グルルルッ！

ジャックがダレンに向かって威嚇するように唸ると

「犬っころは黙ってな」

ダレンが魔力を殺気に飛ばしてジャックを睨みつける！

「なるほど…エイトとジャックには荷が重かったな」

ダレンの殺気に怯むことなく警戒しているジャックの頭をポンポンと叩くと

「お前はエイトを探してこい、あいつは俺がここで食い止めておくから」

ラルクはジャックに行けと手で合図すると

「行かせないわよ」

ダレンがジャックに向かって魔法を放った！

「ファイヤー！」

火弾がジャック目掛けて飛んでいく！

ジャックは避けようとすると目の前にラルクが立ち塞がった、ジャックを庇うように剣を抜くと…

「オリャ！」

火弾を真っ二つに両断する。

「行け！」

ラルクの声にジャックは部屋を飛び出した！

ジャックの後ろ姿をちらっと見ていると

「あーあ、わんちゃん行っちゃった」

ダレンがやる気なく喋っている…まるで行かせてやったとでも言うようだった。

「何している！逃がすな！殺せ！」

村長がダレンを怒鳴りつける！

「はぁ？お前さっき生け捕りにしろって言ったよな？コロコロ意見変えるんじゃないわよ…」

ジロっと村長を睨むと

「ま、魔物なんか生かしておいてもしょうがないだろ…人は生け捕り…魔物は殺せ…」

ビクビクしながらもダレンに命令すると…

「はい、はい、とりあえずこの人の方をどうにかしないとね…あんた邪魔だからどっか行っててくれる？」

村長は何か言いたそうにしながらも黙って部屋を出ていく…そしてちらっとダレンを見ると

「調子にのりやがって…これが済んだら処分してやる…」

ジトリとダレンを睨みつけた…

村長がいなくなると

「さぁ邪魔者はいなくなったわ！思う存分殺りましょ！」

ダレンはラルクに笑いかけると

「そんなに楽しむ気はない、待ってる子がいるからな」

ラルクが剣を構え直すと

「待ってる子ねぇ…そんな子いたかしら？」

ダレンが含み笑いをする。

笑っていたラルクがピクッと眉毛をあげた…

「あの子に何かしたのか？」

ラルクの声がワントーン下がるとダレンがゾクッと頬を赤らめる。

「ふふ…その声素敵ねぇ～ゾクゾクしちゃう」

「ふぅ…」

らしくない…ラルクは息を吐くと

「さぁさっさと殺ろう…エイトを迎えに行かないと」

話していたかと思うとラルクが一瞬でダレンの目の前に飛びかかると

「キャ！」

ダレンが紙一重で剣を避ける。

「あっぶな～い！今一瞬遅れたら死んでたわね」

そうは言いながらも嬉しそうに笑っている。

今のを避けるのか…これは少し手強そうだ…

ラルクは余裕そうに笑うダレンを前に久しぶりに背中に汗が滴り落ちた…