第66話

ギルマスは蛇の魔物を観察すると…


「ここら辺では見ないやつだな…やっぱり何か魔物の様子が変わったのか…」


ボソッとつぶやくと…


「よくやったな、報酬はBランクの魔物と同じ金額を用意してやってくれ。それで倒したのは…」


ギルマスがエイトとジャックに目を向けると…


「坊主か?」


エイトをじっと見つめる。


エイトはブンブンと首を振ると


「いえ!僕の従魔のジャックが倒しました!」


ジャックを誇らしげに指さすと…


「そうなのか?坊主でも平気そうに見えるがなぁ…」


おかしいなと首を捻ると


「なに言ってるんですか、こんな子供が倒せるわけないでしょうが!こっちの従魔がやったに決まってますよね!俺はこの目で見てましたよ!」


「ふーん…」


ギルマスはあまり納得いかない感じに返事を返すと


「まぁいいか…じゃあ金を用意するから手続きの手伝いをしてやってくれ」


「はい」


ライトは頷くと


「じゃエイトこっちに来い」


再びギルドの中に入るとテーブルに座らされる。


「お前は…字は無理だよな…代わりに俺が書こうか?」


ライトが書くジェスチャーをすると、エイトは笑って


「大丈夫だよ、少しなら書けるから!」


「そうなのか?エイトはすごいな」


受け付けのお姉さんが用意した紙とペンをエイトに渡すと…エイトは紙を見ながら名前等を書いていく。


途中まで順調に動いていた手が止まると…


「僕…ギルドに入ってないんだけど、ここのランクとかはどうすればいいのかな?」


ライトさんに分からないところを聞く。


「書けないところは飛ばしていいぞ、最低限名前と注意事項を読んでサインを書けば大丈夫だ」


「わかった!」


エイトは書類をじっくりと読んでいると


「他に分からないところはあるか?読めない字とか」


「大丈夫そう。あっ!…でもこの魔物の素材を全部ギルドに引き渡すって書いてあるんだけど…頼めばもらえるの?」


「えっ…そんな事書いてあるのか?」


ライトさんがじっと書類を見つめると


「この子ライトさんよりよっぽどしっかりしてますね」


受け付けのお姉さんが笑いながら声をかけてきた。


「それはこっちにサインをすれば欲しい材料はエイトくんの物になりますよ。冒険者の人達はあんまりそういうの気にしない人が多いですからね。全部引き渡す方にサインをするとお金に変えてしまうので」


「そうだったのか…」


ライトさんがはじめて聞く真実に驚いていると


「まぁ俺は金になった方がいいからな!素材で貰っても加工出来ないし」


「えー!でもお肉も貰えるよ!料理に使えるんだよ?」


「料理なんて出来ねぇもん」


ライトさんが笑うと


「エイトくんは料理するの?」


受け付けのお姉さんが優しく聞くと


「うん!僕料理大好き!」


ニカッと笑うと…


「やだ…可愛い…」


お姉さんがキュンとしてエイトの頭を思わず撫でた。


「エイト…お前…羨ましいなぁ…」


ライトさんは受け付けのお姉さんにチヤホヤされるエイトを羨ましそうに見つめていた…

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