第64話

エイト達は村の門の前に到着すると…


『ジャックわかってる?ちゃんと犬の真似してね』


『不本意だが、わかってる。飯の為だ』


エイトは苦笑すると門に向かってジャックと歩いて行くと門番達に止められる。


「止まれ!子供がひとりで何の用だ?ここら辺では見ない顔だな…」


門番の一人が怪訝な顔をしながらジャックを見つめると


「その…獣はなんだ?」


「師匠の手伝いで近くまで来ました!師匠はギルドの冒険者です。この子は相棒のジャックです!ちゃんと従魔の印に首輪もしています!」


言われた通りのセリフを棒読みで喋ると隣でジャックがガックリと肩を落としている…


「師匠がいるのか?どこにいる?見えないが?」


「今は近くで依頼の調査に行ってるの、僕は買い出しを頼まれました」


さっきよりは自然に話せると…


「確かに首輪もしてるな…何か命令をしてこの獣がちゃんと制御出来る事を証明出来るか?」


「命令?ジャックに?」


門番が頷くと


『命令って何言えばいいの?ジャックに命令なんて…』


エイトが困ったようにジャックを見つめると


『なんでもいいから言ってみろ!ちゃんとこなしてやる!』


ジャックの言葉にエイトは頷くと…


「じゃ、じゃああそこの魔物を倒して…」


ちょうど近くにいた蛇の魔物が目に入りジャックに命令してみる。


「ま、魔物だと!?」


門番達は魔物と聞いて警戒すると…


『任せろ!』


ジャックが勢いよく駆け出し村に忍び込もうとしていた人間の子供なら飲み込みそうな大きさの蛇の首根っこを噛みつきながら振り回す!


ビタンビタンと蛇の身体を地面に叩きつけるとそのうちに蛇が動かなくなった…


ジャックは蛇を引きずりながらエイトの前に持ってくるとドサッと蛇を落とす。


そしてエイトを見つめて尻尾を振った、まるで褒めてくれと言わんばかりに振っていると


「よく出来たね、ジャック!」


いい子いい子と頭を撫でると、どうだとばかりに門番を見ると…


カラン…


門番達は持っていた武器の槍を地面に落とし口を開けっ放しでふたりを見ていた…


「あれ?これじゃ駄目なのかな…もっと違うことさせないと駄目ですか?」


エイトが心配そうに聞くと…


「だ、大丈夫!いや!お前は村の恩人だよ!あれが村に入ってたら大変な事になってた!礼を言わせてくれ!」


門番達は先程とは打って変わってエイト達を喜んで村に迎え入れた!

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