第62話

「よし、ここで一度休もう」


ラルクは周りを見渡せる場所で立ち止まるとエイトの方を振り返る。


きっちりとラルクの後に着いてきていたエイトをみて満足そうに微笑むと


「エイトが思いのほか速く走れたから早めにつけたな」


よくやったと頭を撫でてやる。


「でも…ここ何もないよ?町とか村に行くんじゃないの?」


「それは準備をしてからだな、ここから少し行くと村があるそこで魔物が村を襲う頻度があがってるらしいから調査と場合によっては討伐する」


「はい!」


「村に入るにあたって俺とエイトは師弟関係とする。これからは俺の事はおじさん呼びは禁止だ」


「はーい…」


エイトが残念そうにすると…


「じゃあ…ラルクさん?…あっ!ラルク師匠!」


「まぁエイトの好きでいいぞ」


「はい!師匠!」


エイトが嬉しそうに呼ぶ様子にラルクは苦笑すると


「師匠、村に行ったら村に泊まるの?」


「そのつもりだ。エイトは村とかはあんまり行ったことないんだよな?」


「うん、小さい時は村に住んでたけど…あんまりよく覚えてない…最近ではおじさん…あっ師匠に会った時に行っただけだよ」


「そこら辺の事も教えて行かないとな…あとは」


ラルクはチラッとジャックを見ると


「ジャックは首輪とかは付けられるか?」


「嫌だ」


「だよな…だと今から行く村には入れないかもしれん」


「えー!ジャック入れないの?」


「ジャックは一応魔物だからな。エイト達のむでは犬と思われてたから大丈夫だったが…ギルドがある村だと冒険者達も多くいる、ちゃんと制御出来てる事を証明出来ないと村には入れん」


「そんなぁ…」


エイトが寂しそうにジャックをみつめる…


「ジャック…首輪…駄目なの?」


エイトが目をうるませて聞くと


「そ、そんな飼い犬のような物付けたくは…」


「じゃあ僕も一緒につけるから…お揃いならどうかな?」


「エイトが?首につけるのか?」


ラルクが驚くと


「お前がそんなの付けてたら…奴隷と思われるぞ…」


「でもジャックだけにそんな事できないし…おじ…師匠、首輪貸して」


渋るラルクから首輪をもらうとカチャカチャと自分の首にはめる。


「ほら、ジャック一緒だよ」


エイトが笑って見せると…


「わかった!付ける!付けるからエイトはそれを外せ!お前にそんなもの付けさせられない!」


「そうだな…」


ラルクがエイトから首輪を外すと


「ほら、ジャックに付けてやれ」


エイトは頷くと丁寧に優しくジャックに首輪をはめる。


すると…


「なんだ?この首輪をはめたら身体が軽くなった」


ジャックが驚き自分の身体を確認する。


「その首輪も魔具だからな、付けた者の身体能力を向上させるんだ」


「そんなものがあるのか…これならまぁつけてやってもいいな」


ジャックが控えめに尻尾を振っているのを見てエイトはホッとすると


「じゃあこれでジャックも一緒に行けるね」


「そうだな、でも村では絶対に喋るなよ!そもそも喋れる魔物なんてそういないんだからな!」


ラルクの言葉にエイトは驚きを隠せなかった!

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