第61話

「やっぱりな…」


ラルクはエイトの後をこっそりとつけていた…


昨日の夜に何処かに行っていたのはわかったがまさか手当てをしていたとは…


「エイトはお人好し過ぎる!」


ジャックは気に食わないのかガチガチと歯を鳴らしていた。


「エイトが許したんだ…それにあいつらも考えを改めたみたいだから…今回は見逃してやろう」


「ふんっ!」


不機嫌そうにジャックは盗賊達を見ると


「ほらエイトよりさきに帰ってないと心配されるぞ」


ラルクが走り出すとジャックが後を追う、少し遠回りをしながらもエイトより先に前に道に出ると…エイトが軽く走りながら追いついた。


「おまたせ!」


笑顔のエイトにラルクはポンと頭を撫でると


「鍋はあったのか?」


「うん!大丈夫だよ、またたくさんスープ作るからね」


「ありがとうな、じゃあ今日のうちに目的の所まで行くぞ」


「わかった!」


ラルクがエイトとジャックを見ると先頭で走り出した。


ラルクの後を着いて行きながらジャックがエイトに話しかける。


「エイト…なんであの人間共を助けたんだ」


ジャックにいきなり聞かれてエイトが慌てると


「えっ!ジャックなんで!?あっ!しっ!しぃー!」


ラルクおじさんに気づかれないように声を下げると


「気づいてたんだ…」


「そりゃ夜中にゴソゴソ動いてればな」


「お、おじさんも気がついてるかな?」


「さぁ?何も言ってこないなら大丈夫じゃないか?」


ジャックがとぼけると


「おじさんに言ったらまた冒険者になれないって言われそうだし…」


「確かにエイトは甘ちゃんだな!殺そうとした相手の手当てするなんて…」


まぁ俺も似たようなものだが…


「うっ…ごめんなさい。でも痛いのって…凄く悲しくて辛いから…」


「お前のその甘さに助けられるやつも多いとは思うがそれが通用しない相手だっている!だから行く時は俺にも声をかけろ。するなとは言わないから俺も連れて行け」


「えっ!」


「わかったな!」


ジャックはそれだけ言うと話は終わりだとばかりに脚を早めてラルクの方へと行ってしまった…


エイトはジャックの優しさに心がポカポカして仕方なかった…

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