第21話
「起きろ…」
カズキは軽く黒狼に回復魔法をかけてやると…
ハッ!
黒狼はバッと起き上がるとカズキにひざまづいた…
「なんの真似だ?」
カズキが疑うように聞くと
『俺は負けた…勝った者に従う…主に…』
「やっぱり喋れたんだな…」
カズキがニヤッと笑うと
『あなたを主としたい…俺にはあなたのような力が欲しい…』
「力?なんでそんなものを欲する?」
『…俺は主の言う通り黒狼…あのロックバード共のいる岩山より三山向こうに住んでいた…』
(三山…王都の方だな…)
カズキが嫌な予感に顔を顰めると
『その山では俺たち黒狼が群れを成して住んでいたが…ある時見た事もない魔物が俺達を襲った…』
「見た事もない魔物?」
『はい、俺の父は群れのリーダーだったが…仲間達は次々と倒れていき…崖に母と追い詰められると…母があいつらの気を引いてる間に俺は崖のしたの川に落とされ…どうにか岸に流れつき…その崖に戻った時にはもう何も…仲間達も何もかも無くなっていた』
「そうか…」
『だから俺はあの魔物に勝てるような力が欲しい!今の俺ではあいつらに勝てない…』
「それでどうしろと?」
『俺は強くなりたい!あなたのように!』
(ふーん…やっぱり小さいと思ったが、こいつもまだ子供のようだな…)
カズキは黒狼を見つめると
「お前、少し毛が白いのは何故だ?」
『これは生まれつき…父は純粋な黒狼だったが…母は白い毛の狼だった…だが!母は父の次に強く仲間達も認められていたんだ!』
(へー白い狼か…)
「わかった…ならお前も一緒に強くしてやろう」
『ありがたい!…ん?も?』
黒狼がカズキを見上げると不敵に笑うカズキが立っていた…
エイトは明るい陽射しに目を覚ますと…
フカッ…
いつもとは違う暖かい温もりに思わず抱きつく…
「グルゥ…」
不機嫌そうな唸り声に思わず目をうっすらと開くと…目の前には昨日は目を覚まさなかった獣がじっとエイトを見つめていた…
「あっ!」
エイトが飛び起きると!
「よかった…目が覚めたんだ!」
エイトは思わず目の前の獣に抱きつく!
獣はエイトの行動に驚き固まっていた…
「痛いところはない?大丈夫だった?」
エイトが心配そうに獣に聞くが獣はふいっと横を向く…
「おっほん!」
すると扉からカズキが声を出した。
「あっじいちゃん!おはよう!見てこの子目を覚ましたよ!」
エイトが笑顔でカズキを見ると
「おはよう、よかったなエイトが面倒を見たからだな」
優しく笑いかけると
「この子逃げないかったね…やっぱりお家がないのかな」
寂しそうに獣を見つめると
「ならここに置いてやるか?」
カズキが聞くと
「いいの!」
「ちゃんとエイトが面倒を見るんだぞ」
「うん!君はそれでいいかな?」
エイトが獣を見ると獣はカズキをじっと見つめた…
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