残念アンドロイドをデザインした俺、左遷先でハーレムの主人公になる
睡蓮
残念アンドロイド誕生
第1話 : 理想の彼女を作る機会
事務補助型アンドロイドJSA-02(以下「02」)型、これが彼女の正式名称だ。数日前から俺の部署で仕事をしている。
ここでは「
こんなことになっているのは・・・・・・
開発第二課という部署でアンドロイド用の主任AI関連エンジニアをしている俺は、この02型のメインプログラムの開発をしていた。
数ヶ月間、碌に家にも帰らず、旧型の01から大幅に改良されたそれがやっと終わった時、これを実装するアンドロイドを試作する部署を訪ねた。皮膚艤装の主任担当者がいて、彼のPCにはこれから02型に与える外装がモデリングされていた。
これを3Dプリンターで作成し、骨格に被せて、縫合面の処理をすれば殆どの人が見ても人肌とわからないくらいの綺麗な外観が出来上がる。
「こんな感じですけど、どうでしょう」
マウスを動かし、完成イメージを表示してくれる。
う~ん、俺の好みとは正直違うんだよね。
「ちょっと、まあ、どうなのかな?」
艤装の担当者は大学の後輩なので、正直に疑問を口にする。
可愛いことは確かなのだけど、アイドル然として面白くない。
どうせならとびきりの色っぽいオトナ美人で、ボンキュッボンの超絶わがままボディがいい。
ふふふ、そうなれば抱きしめてやるんだから──
そんなことを思っていたら、
「だったら自分好みに作ってみれば如何ですか」
信じられないほどの有り難い提案を受けた。
オンナを自分好みに作れるなんて、そんな機会は神様でもないと普通あるものじゃない。
もちろん、二つ返事で承諾した。
「いいのができればですけどね・・・・・・」
この声は俺には届かなかった。
それが良かったのかどうかは後ほどの話だ。
マウスをいじりながらあーだこーだとやっていたら、スマホが鳴った。
見れば課長から何サボってるんだと怒りのメッセージが──
「最終チェックはしてないけど、これで大丈夫」
ま、この俺が作ったのだから、全然問題は無いだろうと判断した。
レンダリングはしてないが、ワイヤーベースならとても綺麗に見える。
「これで本当にいいんですか?」
「もちろん」
自分の机に戻る時に後ろから『ぷっ』と吹く声がした。
「明日を楽しみにしてますよ」
笑い声が混じったような、何となく馬鹿にされているような声調で送り出された。
それから退社まで、俺の頭の中は超絶美女のイメージで一杯だった。
課長に小言や無理難題を言われても明日になれば自分が作った理想の美女がいる。そう思うだけで仕事が苦にならなかった。
翌朝、最新の3Dプリンタを使い、15時間をかけて出来上がった彼女と始業前に対面することとなった。
男なんて単純だ。朝から下半身が元気そのもの。これから会うのは彼女でも何でもないのに、心はウキウキしまくっている。
「先輩、彼女できましたよ」
「どれどれ」
「見惚れますよ」
急ぎ足で対面に向かった先で
「・・・・これが、り・・・・理想の・・・・か、彼女・・・・」
そこにあったのは絶句するような姿をした女性の外皮だった。
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